好きが高じてオリジナル作品作成、フランスの同人「戦隊モノ」実写作家が送る「フランスファイブ」がNHKで報じられる
2006年07月06日 12:30
昔浮世絵、今アニメや萌え文化と、欧州の人たちにとって日本のビジュアル文化はとかく稀有に、そして異文化だからこそ感じられる興味以上の魅力を感じるようだ。今や日本の代表的文化の一つとしてアニメや「萌え」と同様に知らしめられている日本発の「特撮モノ(戦隊モノ)」もしかり。[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]のニュースで、その戦隊モノの熱心なファンの話が語られていた。このフランス人、単に日本の特撮モノを見るのに飽き足らず、自作の特撮作品を作り上げ、ネット上で公開しているというのだ。
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特撮作品の名前は【銃士戦隊 フランスファイブ(France Five)】。5人のヒーローが変身して敵と戦うという、オーソドックスな戦隊モノで、色は赤・青・黄・ピンク・黒と日本の戦隊モノをちゃんと踏襲している。サイトを見れば分かるように、現地のフランス語以外に英語と日本語でサイトを構築しているあたりからも、日本への思いいれの強さがうかがえる。
「プロ顔負けのつくり」と番組では説明されていたが、撮影シーンを見る限り、小規模ではあるがプロ作品とあまり変わらないくらいの本腰の入れよう。パリ郊外のベルサイユで本格的なカメラやスモークなどを使い、剣を交し合うシーンなど、かなり気合が入っている。
さてこの「フランスファイブ」、ストーリーはといえば、1889年にフランス・パリに建設されたエッフェル塔が実は悪魔を避けるための建造物で、そのおかげで地球が宇宙人の侵略から守られてきたという設定。そしてその侵略者がいわば地球のバリアーとして作用しているエッフェル塔を破壊すべく、さまざまな策略を仕掛けてくる。みんなのヒーローフランスファイブはフランス人の中のフランス人として、美しい地球を守るため、悪の侵略者と戦い、地球の平和のシンボルたるエッフェル塔を日夜守り続けるのだという。特撮戦隊モノの大ファンが集まり、日本の番組を参考にして作り上げた。
監督とカメラマンを兼ねるアレックス・ピロ氏は映像を撮影した上でパソコンで編集。他のスタッフらがCG加工を行い、作品として仕上げていく。ピロ氏は小さい頃から日本のアニメや特撮が大好きで、フランスで発売された日本の作品はすべて集めたという。
氏がこの「フランスファイブ」を作ったきっかけは、ありがちだが実行に移すのはなかなか難しいこんな動機。いわく、「みんなで日本の作品を見ながら、たまにはフランスが舞台になってもいいだろう、と冗談を言っているうちに、それじゃあ自分たちで作ってみよう」ということになったというのだ。
これまで作品の制作に携わったのは100人以上にもおよぶという。衣装もすべて手作りというこりよう。今回放送された中で特に驚いたのは、最初フランス語で話していたピロ氏が、
「わたしたちは日本のアニメ・漫画・ゲーム・特撮のファンです。日本人がわたしたちの作品を見てくれると、とてもうれしいです。見てください、よろしくお願いします」
と笑顔で流暢に日本語で説明していたこと。作品の制作といい、好きも高じるとここまで気合が入っているかと感心させられる。
作品はQuickTime形式の動画で提供され、長さはおよそ30分。2000年・2001年・2002年・2004年に各1本ずつ作られ、現在今年夏の公開を目指して最終作品が鋭意制作中。
公式サイトは作品のダウンロードはもちろん、各種エピソードや世界観、アートワーク、音楽、掲示板、関連リンク、グッズ紹介まで日本語ページが用意されているなど本格的なもの。動画配信ページでは、パッケージ用のジャケット画像まで用意されている(笑)。
最近では世界規模の動画アップロードコミュニティが人気を博したり、多言語環境で閲覧出来るFlashによる非プロの動画作品が次々公開され話題を呼ぶなど、ワールドワイドでの「エンターテイメント」「動画による表現」が広まりつつある。つくづくネットの便利さを体感すると共に、自分ら日本人にとってはごく当たり前の物事が、海外の人たちには重宝がられたり憧れの的なものもあることが分かる。もちろん逆もまたしかり。これまでは考えられなかったような、このような遠距離間における文化交流が出来るのも、インターネットならではのものだろう。
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