番組視聴率だけでなく「CM視聴率」も提供します!? アメリカのリサーチ会社が今秋から
2006年07月24日 06:30
[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]によるとアメリカの調査会社ニールセン・メディア・リサーチは7月21日までに、テレビの番組視聴率に加えて「CM視聴率」を今秋から広告主に提供することを明らかにした。インターネット広告が具体的な「広告効果」を数字として提示できるのに対し、実際にどれくらいの視聴者がテレビCMを見たのか分からないという広告主からの不満を解消し、広告主のテレビ離れを防ぐのが狙い。
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これまでニールセンが広告主に提供している番組視聴率は30分ごとに計測されたもので、CM広告料もそれに基づいて算定されている。ところが最近アメリカではCM飛ばし機能を持つビデオプレーヤーが普及して、視聴者のCM離れが最大で9割に達しているという話もある。つまりテレビCMでは「効果測定があいまい」「もしかしたら番組視聴率ほどの効果はないのかもしれない」という疑問が広告主に持たれている。
一方インターネット広告は画像の表示・クリック数で広告を見たりアクションを起こした人が明確に分かるため広告主側としても効果測定がしやすく、急速に市場が拡大している。当然既存広告のテレビCMは割を食うことになる。
アメリカの主要ネットワークテレビ局の今年1年間分の広告売上高(契約ベース)は前年比2%減という数字も出て、広告主のテレビCM離れが数字としても現れ、テレビ局側では気が気で無い。そこでニールセンではテレビ局と共同で、CM視聴率を正確に計測して提示して、「テレビCMもこれだけの成果が出ているのですよ」という具体的な事例を挙げ、人気を取り戻すつもりのようだ。
日本でもDVDレコーダーの普及などによる「CM飛ばし」が広告代理店やテレビ局側では頭の痛い問題となっている。ネットやゲームなどとの連動企画やオンデマンド放送、「プロダクト・プレースメント」(映画やドラマなどに商品を意図的に登場させて視聴者に刷り込み効果を狙うタイプの広告手法)などを導入するなど試行錯誤を続けている。恐らくは日本でも「CM視聴率」の導入という同様の動きがあることだろう。
とはいえ、元記事を読んだ限りでは具体的にどうやって「CM視聴率」を計測するのか説明されていないのが気になる。番組視聴率を計測する機器でそのままテレビCMの視聴率を計測するのは難しいだろう(番組そのものの視聴率も30分ごとに計測するのだから。CMはその番組の中に挿入する形で放送され、その入り方も不規則でかつ放送時間も決まっていない)。広告主が納得行く形での計測方法を生み出して提示しないと、テレビCM離れの動きを食い止めることは難しいだろう。
逆に考えれば、今回の動きはインターネットやケータイをはじめとする新メディアの広告展開が、それだけ注目を集めるようになったことの現れであるともいえる。またテレビCMにしても、それらの新メディアとうまく手を結び工夫することで、新しい展開が期待できる。CM視聴率の提供も一つの手だが、新たな、そして有益な広告展開方法を模索するのもアリなのではないだろうか。
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(最終更新:2013/08/27)
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