王子製紙(3861)によるTOB、日本初の同業他社に対する敵対的TOBとして注目を集める
2006年07月25日 07:00
先に【王子製紙(3861)、北越製紙(3865)との経営統合を目指してTOBへ】などでも報じた、製紙業界最大手【王子製紙(3861)】による【北越製紙(3865)】への株式公開買付(TOB)が事実上の敵対的TOBとなったことで、今件は日本初の大型同業他社に対する経営権をも巡った敵対的TOBとして注目を集めている。
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今件は7月23日、王子製紙が北越製紙に対し、経営統合を目指してTOBを行うことを発表したことに端を発する。元々王子製紙は7月頭から北越製紙に経営統合の申し入れ交渉をしていた。北越製紙の新潟県の工場など最新鋭の設備を統合化で手に入れ、規模の拡大と経営の効率化、さらには国際競争力の強化を目指す狙いがあった。
しかしこの交渉を北越製紙側では拒否。さらに原料の調達や製品の販売先であった【三菱商事(8058)】を引き受け先とする第三者割当増資を行い、三菱商事のグループ会社入りを決定した。王子製紙へのけん制の狙いもあったのだろう。
ところが王子製紙ではこれに対し先にもあるように株式の公開買付で経営統合を果たすという方針を打ち出し、さらに7月24日には三菱商事に対し「経営統合のさまたげになる第三者割当増資を引き受けないように」という申し入れをした。三菱商事側はこれに対し「契約も成立しており、現時点では申し入れを受け入れることはできない」とコメントしたという。王子製紙側では今後も「努力」を続け経営統合を目指すとのこと。
一方北越製紙側では昨日記者会見を行い、王子製紙との経営統合は競争力の低下や従業員の労働意欲の低下というマイナス点があるなど、メリットがあまりないことを指摘。むしろこれまで通り独自路線を貫くことで企業価値を最も高めることができると確信していると発言した。
王子製紙によるTOBの流れ
今件はこれまでの日本型M&Aといわれるように「大企業同士、同業同士が経営統合する場合には両社が歩み寄る」というスタイルと異なり、対立してまででも規模の拡大を図りたいという思惑がある。
また、あまり語られていないことではあるが、敵対的TOB、特に同業同士のそれは、数字的・会社規模的には成功したように見えても、内部社員のモチベーションの低下や対立などで、中長期的なレベルでのマイナスは無視できないものがある。簡単に例えるなら1+1が2以上になることを期待したのに、1+1=2どころか、1.8になり、1.6になり1.4にすらなりかねないということだ。
今後、王子製紙、北越製紙、三菱商事三社の動向が気になるところだ。
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