【更新】村上ファンドの元代表村上世彰氏とファンド中核会社を起訴
2006年06月24日 07:00
[YOMIURI ONLINE]によるとニッポン放送株式を巡るインサイダー取引事件で東京地検特捜部は6月23日、「村上ファンド」の元代表村上世彰氏と同ファンドの中核の投資顧問会社だった「MACアセットマネジメント」を証券取引法違反の罪で東京地裁に起訴、同事件の捜査を終結した。村上ファンド側がニッポン放送株式の売買で得た不正利益は30億円にものぼり、インサイダー取引事件では過去最高額になるという。
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村上元代表はすでに起訴事実を認めており、一方で弁護士を通じ各方面に多大なご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます」との談話を発表している。MACアセットマネジメントも[声明を発表(PDF)]、「このような事態に至りましたことを、極めて重大かつ厳粛に受け止めております。世間をお騒がせし、関連ファンドへの出資者の皆様をはじめ関係各位には、多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。」とコメントしている。
起訴状によると村上元代表は2004年11月8日、ライブドア前社長の堀江貴文被告らから、同放送株の5%以上を買い占めるとの情報を伝えられ、その公表前に同放送株約193万株を計約99億5000万円で買い付けた。同ファンド幹部3人は、関与の度合いが低いとして、起訴は見送られた。
村上氏は逮捕前に記者会見を開いてニッポン放送株式の売買について自己弁明を長時間にわたり行ったが、その後関係当局や関係者らの話によれば(そしてそれらが真実だとすれば)、これらの内容がほぼ自己防衛のためのウソ偽りだったことが明らかになっている。
例えばニッポン放送の取得に際し堀江氏が理由として挙げて流行り言葉にもなった「ITとメディアの融合」について、堀江氏はニッポン放送の株式前々から考えていたと述べていたが、実は村上氏の提案によるものだったことが分かっている。また村上氏が記者会見で
「(ニッポン放送株式をライブドアが大量取得するこを)たまたま聞いちゃった」と説明していたが、その実「大量にライブドアが買い付けるのを知った上で買い進めた」と特捜部に供述しているとの話だ。また、ライブドアがニッポン放送株式を大量取得するのに用いられ、後々証券取引の各種ルール改正のきっかけにもなった時間外取引も、村上氏のアドバイスによるものなど、いわば「村上氏のシナリオ通りにライブドアが踊らされた」形になっている。
また、当初ライブドアに村上氏が「共にニッポン放送の株式を大量に保有して過半数を握り、経営権を確保しましょう。村上ファンド側の株式は(場合によっては)ライブドアにお渡しします」と持ちかけておきながら、ライブドアが大量取得して株価が急上昇すると「投資家のために高い利回りを確保しなきゃならない。ファンドが持っている株式は市場で売る。仕方ないだろう」とし、(共同経営、あるいはライブドアに売る)約束は簡単に反故にし、30億円もの利益を得たことも報じられている。この行動がインサイダー取引とされることについて村上氏は「利益を得るために売ったのであって、最初から不正を仕組んでいたのではないと」主張しているという。
これらの話は(村上氏の記者会見はともかく)公的の場で正式に語られたのではなく、100%真実であるとは言いがたい。また村上氏の発言そのものも時間と共に検証が進められるにつれ、さまざまな矛盾点が明らかにされつつある。今後公判の内容が明らかにされるにつれ、どの話が真実かが分かることだろう。そして、ニッポン放送に絡む話だけでなく、ライブドア関連の話もあわせ、昨年から相次いでいる証券取引に関連する複数の案件におけるつながりが分かることだろうし、「第三の主役」の登場がありうるかもしれない。
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