【更新】文部科学省、レアメタルの代用品研究へ本腰
2006年06月19日 06:00
[YOMIURI ONLINE]によると【文部科学省】は来年度から、インジウムやプラチナなどハイテク産業に不可欠な希少金属(レアメタル)の代替材料研究に乗り出すことを決めたという。豊富な通常金属を代用したりレアメタルの使用量を極力減らす技術を2015年までに実用化し、日本の産業競争力を強化する。
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インジウムやプラチナ、タングステンなどはそれぞれ液晶パネルの材料、燃料電池、超硬工具など、ハイテク技術で利用される、いわば「ハイテク立国ニッポン」においては戦略物質のようなもの。ところがいずれも日本国内ではほとんど産出されず、輸入頼り。安定供給が確約されていないどころか特定国家に偏在しているため、その国の国家戦略の影響を受けやすい。
例えば中国。中国はタングステンの88%、インジウムの33%を生産しているが、経済発展と中国国内の需要急増に伴い、輸出奨励から内需優先に方針転換している。
文部科学省ではこの状況を憂い、資源として元々日本国内でも豊富に存在するアルミニウムやカルシウムを代用品として用いる代替技術研究に乗り出したり、使用量そのものを減らす技術を開発するなどの戦略に本腰を入れる。
文部科学省の公式サイトではまだ正式な発表は無いが元記事によれば、10種類程度のレアメタルを対象と設定。代替技術研究に乗り出す。すでに先月の段階でインジウムの代替品としてカルシウムとアルミニウムの酸化物が有効足りえる研究などを確認している。
今件については重要国家戦略として位置づけ、5テーマほどの公募を1テーマ2~3億円の予算をつけて実施、さらに【経済産業省】との連携も行うという。
代替品となると食いしん坊万歳の人が頭に最初に思い浮かべるであろうのが、諸般の事情から肉料理が食べられない人のための豆腐や野菜を用いた擬似肉料理(精進料理)。これは中国が大もとだが、日本でも色々工夫されている。また日本は元々資源が少ない国であることからさまざまな「工夫」を模索し、同時に強いられてきた歴史がある。大戦中も石油が無いからと木炭自動車が街中を闊歩したり、アルミなどの金属不足からコンクリート製の輸送船や木材に材料を置き換えて再設計した陸軍の四式戦闘機の試作機(キ-106)などが存在していた(写真の戦闘機がそれである)。
こんにちが輸送・情報手段が劇的に進歩し、他国との連携無くしては存続が不可能な国際社会であるのは事実だが、同時に国自身を支える戦略物質を特定の少数国に依存しきった状態ではリスク分散の意味でマイナスでしかないのも事実。先の【割りばしの件】や【竹製品の件】が良い例だ。
単なる装飾品ではなく国を支える産業の維持に必要な素材であるのなら、是非とも代替品の研究や節約方法の開発を推し進めるべきだろう。それこそ【環境省】が提唱する「もったいない精神」と連動させたってかまわない。また、「戦略物資」という意味ではレアメタル以上に、食料品についても再考する必要もあるのだろう。これはもちろん【農林水産省】の職分。
となると、複数の省庁をまたにかけたプロジェクトになりうる。ここは一つ首相直属の特設機関を設けてそこを頭とし、多省庁連携による大型推進案件とするべきではないだろうか。
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