金融庁、投資事業組合の情報開示調査を大規模に開始
2006年06月17日 07:30
【金融庁】は6月16日、上場企業をはじめとする有価証券報告書の提示を義務付けられている企業約4700社に対し、有価証券報告書での投資事業組合の連結状況について調査を行うため、調査票を提出するよう告知した(【発表リリース】)。
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投資事業組合はその性質上、連結子会社などと比べて透明性が低く、資金の流れを不明瞭化する際の隠れみのとして使われやすい。「怪しげ」な上場企業が不明瞭な増資や資金移動をする際にもよく使われるとされている。特に今回、ライブドアが不正利益を還流させる手段として大々的に利用したことで、その性質が問題視された。
今回の告知は、投資事業組合の状況と各企業との関係を把握し、しかるべきところにはしかるべき指導・是正要求をする目的があるようだ。金融庁による審査は定期的に行われているが、投資事業組合の情報開示に関する調査は今回が初めてとなる。
【調査票(PDF)】に目を通した限りでは「それなりに」詳しい情報開示を求めているようで、これに不誠実・不明瞭な記述回答をした場合はもちろん、虚実を記載した提出を拒んだ場合、金融庁は「しかるべき」措置を採ることになる。また、正確な内容を書き込んで報告した場合でも内容次第では同様の措置が採られることになるだろう。
MSCB(Moving Strike Convertible Bond、転換価格(下方)修正条項付き転換社債)の規制強化施行に伴い駆け込み的にMSCBを乱発する上場企業が相次いでいる。今回の金融庁の動きによっては(現在すでに検討されている)投資事業組合への規制強化・透明化が加速されることもあり、MSCB同様駆け込み的に投資事業組合を用いた「さまざまなアクション」がそれ系の企業で行われる可能性は否定できない。
痛くない腹をさぐられるのはあまり良い気分ではないだろうが、「痛い腹」をさぐられて困る企業も中にはいるのかもしれない。
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