日銀、「ゼロ金利政策」維持を明確化
2006年06月16日 07:00
【NIKKEI NeT】などが報じたところによると【日本銀行】は6月15日、政策委員会・金融政策決定会合を開き、金融政策の現状維持、すなわち短期金利をほぼゼロ%におさえる「ゼロ金利政策」を維持することについて全員一致で決定した。物価はプラス基調を続けているが急上昇する恐れはなく、また株価の動向も不安定なため、現状維持が適切であるとの判断から。
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日銀は【日銀、量的緩和解除を決定】でも報じたように3月9日に量的金融緩和政策の解除を決定し、代表的な短期金利である無担保コール翌日物金利を金融政策の操作対象とし「おおむねゼロ%で推移するよう促す」政策をとっている。これは景気の回復感からの決定だったが、この政策変換後にアメリカ市場の不安定感や東京株式市場の大幅な下落など、経済動向の下落に大きく作用したとの意見も大きい。特に昨今では6月13日の大幅下落が決定に大きく影響したものと思われる。今回の「ゼロ金利政策維持」の発表には、これらの株価、しいては経済そのものの停滞・後退をけん制する意味が含まれている。
なぜ「ゼロ金利政策」が「株価上昇・安定」につながるかと「極めてざっくばらん」に説明すると、金融機関の親分格たる日銀の金利の動向は各金融機関の金利にも大きな影響を及ぼすからである。つまり、
・日銀が金利を上げると一般金融機関も金利を上げる。
・貯金、預金の金利が上がると「株の利益(売買益や配当益)よりも貯金(預金)した方が、リスクを考慮しても安全で確実に儲けられる」と判断した投資家らが、資金を株式から預貯金や債券にスライドする。
・よって株式が売られる傾向が強まり、株価が下がる。
という形だ。逆に考えれば「金利が低ければ『株式で資金運用した方が儲かる』と判断され、株式へ買いが集まり、株価が上昇する」ということになる。
もちろん金利が低い状況は利子生活者にはマイナスに作用する。「お金持ちのことなど知ったことではない」「不労所得への配慮は優先順位を低めても良い」という意見もあるだろうが、年金生活者も利子生活者であることを忘れてはならない。ゼロ金利・低利子の状況は、高齢化社会においては確実に対象者の生活を圧迫することになる。
株価や経済の高値安定と、高齢化社会への対応という、相反する問題をいかに解決していくか。日銀には慎重な対応が望まれることだろう。
なお今件は6月16日の午後に記者会見として発表された。内容そのものは前日あたりからそれとなくリークされていたようで、昨日の株価の高値安定はこれが一因だったとする説もある。ゼロ金利政策維持の発表が直近の株価動向にどう影響するのかは、むしろ今日以降しばらくの間に結果が出ることだろう。
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