金融庁、三井住友海上火災(8752)に異例の厳しい業務停止命令
2006年06月21日 20:15
【金融庁】は6月21日、【三井住友海上火災保険(8752)】に対し、6月21日付けで業務停止命令を発令したと発表した(【発表リリース】)。保険金の不払いだけでなく保険商品販売での違法行為や、代理店・海外拠点の管理不備などが次々と発覚し、遵法体制が整っていないと判断したため。医療保険など俗に言う「第三分野」の保険商品の販売を体制の確立が金融庁によって確認されるまで無期限停止するなど、非常に厳しい命令内容になっている。
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金融庁はすでに2005年11月末の段階で、保険金の支払い漏れがあったとして三井住友海上火災を含む損害保険26社に業務改善命令を出し、内部管理体制の強化を求めていた。その後調査が進められるにつれ、新たに1万7296件・7億1910万円の支払いもれ、医療保険など第三分野の保険分野での商品について927件・1億6600万円の保険金不払いなどが発覚。保険金の支払い管理に重大な欠陥があることが明らかになった。さらに顧客に無断で契約申込書に印鑑を押す不正や、契約者が支払うべき保険料の立て替えといった多数の法令違反も確認されたとしている。
具体的に下された処分は
・医療保険など第三分野の保険商品は管理体制が整うまで無期限で募集停止
・損害保険募集は全国すべての店舗で2週間停止
・新商品開発は1年間停止
・海外支店などの新設は3か月停止
などとなっている。
三井住友海上火災側では【リリース】などで行政処分を受けたことに対し、「全役職員が今回の処分を厳粛に受け止め、このような事態を二度と発生させることのないよう、誠意をもって信頼回復に取り組んでまいります」とコメントしている。また、厳正な社内処分についてはのちほど公表するとのこと。
繰り返しになるが、弱い立場にある保険契約者が「もしものために」というわらにもすがる思いで契約した保険なのに、業績やいい加減な処理でいざという時になって「払いません」とされたのでは、保険契約者にしてみればたまったものではない。さらには保険業界全体への不信感にもつながる可能性もある。ひとときの利益を優先して不当なことをすると、結局自分自身に返ってくるということを、三井住友海上火災(を含めた保険会社)は真剣に考えるべきなのだろう。
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