ジェネリック医薬品を採用している医療機関77%に、生活習慣病向け薬のニーズが多い

2006年06月15日 07:00

時節イメージ【NIKKEI NeT】によると、特許切れ成分を用いた比較的割安な後発薬(ジェネリック医薬品)を採用した医療機関は77.4%にのぼることが、【矢野経済研究所】の調査で明らかになった(【概要、PDF】)。流通量は2003年度の段階で医薬品全体の16.4%(数量ベース)と少ないが、少量でも導入を行っている医療機関は多いことが判明した。

スポンサードリンク

調査は2005年の11月から12月に郵送で、東京や近畿の診療所と全国の病院、計1631件を対象に行われた。診療所からは76.4%、病院からは19.4%の回答を得ている。病院からの回答率が低いのが気になるところ。

概要としてはジェネリック医薬品を採用している医療機関は77.4%におよび、採用を検討しているを含めると78.9%になった。一方で「過去に使用経験があるが現在は採用していない」も7.9%。「これまで一度も使ったことがなく、これからも使わない」が13.2%と、使っていない医療機関も2割存在するのが判明している。また、どちらかというと、民間病院や国立・自治体系の医療機関での採用率が高く、私立系病院での採用率が低い。

採用理由は「患者負担の軽減」「薬剤費の低下」「医療費軽減」「利益の向上」の順。診療所では患者負担の軽減がもっとも大きな理由なのに対し、病院では薬剤費の低下という、病院経営の観点から採用に積極的なのがうかがえる。

採用している医療機関でジェネリック医薬品メーカーに対する評価はトップが【エーザイ(4523)】の関連会社の【エルメッドエーザイ】、ついで【沢井製薬(4555)】【東和薬品(4553)】の順。一方で採用率ランキングではトップが沢井製薬、ついで東和薬品、【日医工(4541)】【メルク・ホエイ】【大洋薬品工業】

採用度トップの医薬品は利尿剤の「ハルナールカプセル・錠」、ついで血糖値上昇を抑え糖尿病治療に使われる「ベイスン錠」、手足のしびれや痛みを改善する糖尿病の症状を改善する「キネダック錠」の順。生活習慣病のひとつ、糖尿病への薬が多い。

ジェネリック医薬品はとにかくこれまでの薬(先発医薬品)と成分・有効性が同じで、先発医薬品と比べると値段が安く、医療機関と患者双方の経済負担を軽減できるのが最大のポイント。価格にして最安で2割、高いものでも8割程度に設定されている。一方で、先発医薬品と同じ速さ・同じ量で薬の成分が血液に浸透するかどうかを調べる試験をクリアしたものが流通するので、「先発医薬品と同じ効果が期待できる」。安全性については【医療用医薬品品質情報集(オレンジブック)】で公表されており、誰でも確認できる。

とはいえ、ジェネリック医薬品を実際に利用した人すべてから「先発医薬品とまったく同じ効用があった」という反応があるわけではなく、モノによっては先発医薬品と同じ効果が望めない事例もいくつか報告されている。ジェネリック医薬品を使うか否かの判断は患者自身が行い、そのうえで主治医に相談するのが良いだろう。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ