中央青山、解体の瀬戸際モード突入
2006年05月23日 12:30
【NIKKEI NeT】によると先に2か月の行政処分を受けた大手監査法人【中央青山監査法人】が、事実上の解体に追い込まれる可能性が出てきた。行政処分に伴う顧客の激減や信頼の失墜だけでなく、提携先で信用を補完してきた世界有数の監査法人【プライスウォーターハウスクーパース(PwC)】が、中央青山との関係見直しに動き出したのだという。
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元記事ではPwCに取材を行い、そこで「中央青山との提携関係を今後1年以内に解消する可能性が高い」との言をとった。PwCはすでに日本に独自の監査法人を設立する方針を示しているが(【同社の日本サイト】)、中央青山との提携解消について言及するのは今回がはじめてだという。
PwCの独自法人は(中央青山の行政処分が7月からで、その空白を埋めるため)7月までに立ち上げる予定だが、この法人は「空白期間」の受け皿として一時的に監査を受け持つのではなく、中央青山が抱える監査先のうち、海外企業の日本法人や国債優良企業を取り込む動きをするもよう。
具体的には記事では【ソニー(6758)】や【トヨタ自動車(7203)】、【京セラ(6971)】【任天堂(7974)】など国外でも名を知られる超一流企業があげられている。これらの企業にしてみれば、海外事業の監査においてPwCの国際ネットワークを直接使えるので、PwCへ乗り換えるメリットは大きい。中央青山やPwCの日本法人の対応次第だが、乗り換える可能性は高い。
さらにPwCでは日本法人において、中央青山の会計士をまとめて移籍させ、日本国内事業をまかなう見通し。場合によっては中央青山の会計士とその顧客が丸ごとPwC日本法人に移転する場合もありえるという。
元記事では昨年から社内改革を続ける中央青山の窮状も語られており、昨年の段階で改革担当理事が「我々は頑張っても駄目かもしれないし、頑張らなければ絶対駄目になる」と語るなど、状況は極めてきわどいところにある。そこにもって行政処分の発動がきまり、まさに不退転の決意でことを進めないと、題名通り「解体」の可能性も否定できない。
【金融庁、中央青山監査法人に対する7月1日から業務2か月停止とする行政処分を正式発表】でも指摘されている通り、規模は違えと監査法人への行政処分という事例では、2002年に瑞穂監査法人に対して出されて以来だが、同監査法人も結局のところ「信頼」を売り物にしている会社としては立ち行かなくなり、解散に至っている。
中央青山に残された時間は少ない。これまでの蓄えや「貯金」をすべて吐き出すつもりで事に立ち向かわないと、現状維持ですら難しいかもしれない。果たしてそれだけの「覚悟」はできているのだろうか。
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(最終更新:2013/08/28)
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