「コンビニが フライドチキンで チキンレース」ローソンとファミリーマートのジューシーな戦い
2006年05月20日 12:30
【asahi.com】によるとコンビニ業界第二位の[ローソン(2651)]と第三位の【ファミリーマート(8028)】が、フライドチキン販売で火花を散らしているという。共に「鶏肉のプロ」を自任している社長が陣頭指揮に立って商品開発をしているだけに、一歩も引けないという。ただその理由が「メンツ」にあるのではなく、収益向上に直結する戦略商品として鶏肉商品をとらえ、その覇権争いなのだという。
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記事によればファミリーマートのフライドチキンの売上は2005年度においては6000万本。【日本ケンタッキー・フライド・チキン(9873)】に次ぐ、日本国内で第二位と胸をはる。一方後発のローソンは2005年11月からの半年間の実績は2000万本だったものの、「年間では7000万本になる(からファミリーマートを抜いて日本第二位だ)」とし、ライバル心臨界点突破状態(「累計販売本数1億本突破」をうたっている)。
ファミリーマートのフライドチキンは、【伊藤忠商事(8001)】時代に約30年間も畜産関連部署に籍を置き、「肉一筋」を自称する上田準二社長の肝いり。「他社に負けないものを作れ」と社長自ら試食を繰り返し、「お年寄りでも何本も食べたくなるよう香辛料に工夫を重ねた」という。
一方ローソンでも、【三菱商事(8058)】時代にケンタッキーを担当し同社の社外取締役も務めた「フライドチキンのプロ」たる新浪剛史社長の一声「ケンタッキーに負けないものを作れ」のもと、商品開発に注力。「ジューシーさとサクサク感のあるころも」を出すことに成功したという。
両社社長の前歴もあるが、なぜここまで両コンビニがチキンにこだわるのか。元記事によれば、利益率5割前後という高い利益率にあるという。一般の加工食品の利益率が26.7%(ローソン、2005年度)と比べれば倍近い儲けやすさを考えれば、力を入れたくなるのも分かる。
また、フライドチキンなどレジ横・カウンターに置かれる商品は「カウンター商材」と呼ばれているが、このカウンター商材へ注力することでの成功例は、かの【セブン・イレブン(3382)】における「おでん」がある。同社はおでんに力をいれ、現在では夏場でも売れている。曰く「高い利益率に加え、従業員がお客様に薦めれば売り上げが伸びる商品の代表選手」とのこと。他にも【サークルKサンクス(3337)】はアメリカンドックを刷新し、利益率向上を推し量っている。
コンビニにおけるレジ横は、週刊誌なら巻頭の見開きグラビア、ウェブサイトならトップページの左上部分に相当する、「もっとも注目され宣伝効果が高い」場所に他ならない。そこに置かれる「カウンター商材」は、本屋ならレジ横で必ず目につく「人気新刊」同様、もっとも回転率が高く、販売個数が期待できるもの。その商材の利益率が高ければ、コンビニそのものの収益にも大きく貢献する。両社がチキンレースさながらのフライドチキン開発合戦を行うのもムリはあるまい。
確かに鶏肉好きな人なら、コンビニで買い物を清算する時にレジ横の専用ケースに収められたチキンからただようあの素敵な香りが鼻腔(びこう)をくすぐると、つい誘惑に負けて「あと、そのチキンを」とオーダーしてしまうことだろう。まったくもって巧みな演出ではある(笑)。
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