ライブドア事件と前後して……決算短信の訂正急増、特に新興市場で
2006年05月07日 12:30
【NIKKEI NeT】によると有価証券報告書の速報版ともいえる決算短信を、発表後に訂正して「速報」の意味を無くしてしまうような上場企業が急増しているという。2002年度では500件だった訂正件数が、3年後の2005年度には3倍近くの1438件にも。特に新興株市場で5倍弱となったのが注目に値するという。
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記事では会計制度変更などで開示内容が増え上場企業側の負担が多くなりチェックしきれない部分があるという理由の他に、管理体制の不備も一因だとしている。具体的な件数は新興市場は2002年度→2005年度で86件→406件(4.7倍)、新興市場以外の市場では414件→1032件(1032件)。
訂正件数そのものの違いから、一概に倍率がどうとかいう話でくくることは難しいが、同時に新興市場への不信感が高まっているのも否定できない。特に(株価調整のために偽装紛いのことをして好調さを装ったものの装い切れなくなって)下方修正を行う訂正や、下方修正直前の(インサイダー取引が噂されても仕方の無い)不自然なタイミングでの大口の大量売り、さらには上場直後の市場バランスを崩すほどの大口株主の売り逃げ的注文などが相次いで見受けられる。法的に問題のあるなしに関わらず「新興市場銘柄を信頼していいの?」という声が投資家から聞こえてきそうな状況だ。
例えば「自社株の売却代金」を会計的に自社の売上高に計上することは、くだんのライブドア事件でも行われていた手法で、「やってはいけないことの一つとして、上場企業なら知っていておかしくない」レベルの話。だがつい先日も某新興企業が「株式売却の約定代金を売上として計上する予定だったが監査法人の指導で計上できなくなったので、業績の下方修正をする」という、とんでもない下方修正訂正をしている。もちろん、時系列的にライブドアがらみの「後」の話。
恐らく今後、新興市場の軟調さはしばらく続くことだろう。中長期的に「ライブドアショック」の影響が及びつつある、と表現することもできる。だが同時に、この状況の中で市場全体の雰囲気から連れ下げしてしまった「本当に価値のある」新興銘柄を探し出し、割安なところですくい(「救い」)あげるのも、投資冥利の一つかもしれない。
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