牛乳復権へ関係者必至の努力、ペットボトル化も検討へ
2006年05月03日 18:00
先に【作りすぎで「捨てた牛乳100万本」、今後その10倍の1000万本になる可能性も】でも報じたように「集荷済み生乳1000トン廃棄」に象徴されるような、牛乳の需要減退で生産業者に深刻な影響が及びつつある昨今、生産現場の努力に少しでも報いようと、関係各方面で懸命の取り組みが進められているという(【参考記事:Mainichi INTERACTIVE】)。
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記事では「労している地元生産者のために、私たちもなんとか力になりたい。職員にも呼び掛けている」という言葉に代表されるように、北海道庁職員が自腹を切ってでも意識的に牛乳を飲むよう心がける話が紹介されている。また同様の動きは【明治乳業(2261)】【チチヤス】における乳製品の従業員家族の勧めでも見られるという。
【日本酪農乳業協会】では昨今の牛乳消費量の減少について、
・朝食など食事の際だけに飲まれる傾向が強い(朝ご飯が抜かれやすい現状も大きな影響)
・健康や美容に良いというイメージが弱まっている
・少子化の影響
などを理由にあげている。
状況のばん回のため関係各所が検討しているのが、「牛乳のペットボトル化」。話では厚生省の取り決めで1951年に「牛乳はガラス瓶か紙パックで販売するように」と決められたが、その当時はペットボトルは存在していなかった。当然現状をかんがみればペットボトルは許諾されて良いはずなのだが、現在のところありがちな「強力なアクションが無ければ現状維持を常とする」姿勢から、積極的には動いていないようだ。ただ、牛乳そのものではなくコーヒー牛乳などの乳飲料はすでにペットボトル詰めが認められているので、実際に動き出せばそう遅くはないうちに可能だと思われる。
中身が特に変わるわけではないペットボトル化だが、その効果はかなりのものになるようだ。実際緑茶を例にあげると、ペットボトルの導入によって導入年で生産量は5割増、それ以降も毎年1割から4割の割合で増加を続けているという。15年で50倍という驚異的なボリュームだ。日本酪農乳業協会なども、この緑茶のデータを元に「二匹目のどじょう」ならぬ「二本目のペットボトル」を狙っているようだ。
紙パックやガラス瓶と比べてペットボトルが優れているのは、一度に全部飲まなくとも途中でフタを閉めて持ち歩き、何度かに分けて飲むことができる「気軽さ」にある。紙パックタイプでは途中まで飲んだまま携帯するのは事実上不可能だし、瓶詰めのは重くて衝撃にも弱い。牛乳そのものの魅力ではなく、容器によるハードルで牛乳の消費量が落ちているというのであれば、酪農業者にしても日本酪農乳業協会にしても、本意ではないだろう。
仮に早期に「牛乳のペットボトル化」が実現しても携帯飲料として後発になる牛乳が、どこまでシェアを拡大できるかは未知数。牛乳ならではの問題点をクリアする必要もある。だが先の「1000トン廃棄」の悲劇(直接的な損失だけでなく、関係者のモチベーション低下という影響も大きい)を繰り返さないためにも、できることは躊躇(ちゅうちょ)せずに実行する心構えが必要だといえよう。
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