CESA、ゲームのレーティング制度の変更を発表。18歳以上向けタイトルを対象年令外へは「販売禁止」へ
2006年05月28日 19:55
【社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)】は5月26日、ゲームソフトに対するレーティング(対象年令への格付け)制度を新しくしたことを明らかにした(【発表リリース、PDF】)。
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これは先に【CESA、18歳以上対象のソフトを「自主規制」から「販売禁止」に規制強化】でも報じていた、【特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)】と調整していた内容の施行開始ということになる。予定では5月31日からだったが、事実上数日前倒しされた。また、ゲームショップなどにはこれより数週間ほど前から同リリースと同じ内容の内部通達がされており(【ショップ向け資料】)、事実上5月中旬以降はこの新レーティングが施行されたと思って良いだろう。
レーティングの詳細は上記記事や資料・リリースを参照してほしいが、基本的に15才以上対象の面はこれまでと変わらない。問題なのは以前から何度となく問題視されてきた、色々な意味で「子供向けとは思えない」内容のソフトに対するレーティング。これまでは一律「18歳以上対象」としていたものを「D:17才以上対象」「Z:18才以上のみ対象」に区分し、最後のZ区分についてはCESA側は「販売店各社様に18才未満の方への販売を禁止するようお願いする」というもの。
CESA側では特に最後の「Z区分」について「18才未満には自主規制ルールとして販売していない」「購入時には年令が証明できるものを提示してもらう場合がある」と説明している。
公式サイト上にはこれ以上の資料が掲載されていないので判断がつきにくいのだが、いくつか「?」マークがつかざるを得ない点がある。まず何よりも不思議なのは「Z」と「D」を区分した意味。リリースでは「Z区分」への年令規制自主ルールを強調しているので、「Z区分は(自主規制ルールだが実質上)対象年令該当者以外は販売禁止」、「D区分はこれまでどおり店舗に対して自主的に販売を規制してほしいという協力願い、つまり販売自粛」レベルなのかもしれない。ということであれば「Z区分」の説明だけ「のみ」という表現が使われているのも道理がいく。もちろん強制力としては「販売禁止>販売自粛」。
また、これまで対象年令の数字が具体的に記載されてシールを見ただけでも分かりやすかったのが、なぜわざわざ一目では分かりにくいアルファベット表記にしたのか、理由が分からない。これも第一の「?」同様、多くの人が感じているはず。
……ということだったのだが、【CERO側のレーティング説明ページ】を確認してある程度納得・意図がうかがえた。つまり、A~Dはあくまでも「CERO倫理規定に基づいて審査され、それぞれの表示年齢以上対象の表現内容が含まれていることを示しています。ご購入の目安としてご活用下さい」ということで、「目安として使ってね」という「お客側が最終的に判断するための材料提示」に過ぎないのに対し、「Z区分」は
18才未満者に対して販売したり頒布したりしないことを前提とする区分
であって、「お客側の判断ではなく、お店側が販売の是非を判断するための区分。お客側には選択の余地はない」ということになる。要は前者がガイドライン、後者が取り決め、ということだ。
アルファベット表記については色々邪推も出来るがここでは止めておくとしても、今後は事実上ゲームを購入する際のレーティングについて、「Z区分」をしっかりとチェックしておけば(とりあえずは)問題がない、ということになる。
だがその一方、今回の新レーティングの発表で、一つ「もしかすると」という可能性がある。CESA・CERO側で「Z区分」を明確化し、販売自粛ではなく販売規制ルールを定めたということは、逆に考えると「Z区分に該当するソフトが発売されうる(環境が整った)」ということに他ならない。
つまり、これまでに発売されていた「アクション的に色々問題があるかな」という方面でのZ区分的タイトル以外に、パソコンゲームなどでは普通のゲームのおかぶを奪ってシェア的に主流となりつつある、俗に言う「アダルトゲーム」が「家庭用ゲーム機向けに堂々と」発売されてもおかしくないわけだ。
Z区分の施行で事実上他の媒体同様に未成年者への規制をかけることができ、批判を受けている面における最低限の対処はできた、ということになるのだろう。今後このレーティングをいかに中身のあるものになるよう運用していくのかに注目すると共に、最後に指摘した「Z区分登場によるもうひとつの可能性」についても注意深く見守って行きたいところではある。
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