ヤフーBBの個人情報流出の損害賠償金は1人あたり6000円との判決下る
2006年05月20日 08:30
【NIKKEI NeT】によるとインターネット接続サービス「ヤフーBB」による顧客の情報流出問題で、大阪市の会員ら5人が「精神的被害を受けた」とし、運営するBBテクノロジーと[ヤフー(4689)]に損害賠償を求めた訴訟の判決で大阪地裁は5月19日、「不正アクセス防止の措置をおこたった」としてBB社の過失のみを認定。1人あたり6000円の支払いを命じた。
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今件は原告側弁護団によれば、インターネットでの個人情報流出で企業の責任を認めた初の判決となる。同サービスの運営にかかわるヤフーについては「顧客情報はBB社とは別に管理しており、賠償責任を負わない」「監督義務をおこたったということには当たらない」として、原告の請求を棄却している。
判決結果ではBB社のセキュリティー対策について
・特定のコンピューター以外からのサーバーへの接続を認めない
・定期的なパスワード変更
などの対策が採られていなかったことを指摘し、注意義務違反があったとした。原告側弁護団は「企業の情報管理の在り方に警鐘を鳴らす判決だ」と今判決を評価している。
今件についてはすでに2004年初頭に全会員へ500円相当の金券が「お詫び料」として支払われている。今回の「6000円」の判決はあくまでも訴訟を起こした5人に対してということであり、全会員に「6000-500=5500」円分の金券が追加発送されるわけではない。また、ヤフーBBやヤフー側、あるいは原告側が控訴する可能性もまだあり、判決は確定しておらず、賠償金額が上下する可能性もある。
とはいえ、過去にソフトバンクが「500円の金券をお詫び料」として提示してから、多くの情報漏えい企業で「情報漏えいしたらお詫びは500円で良い」との慣習が広まるようになってしまった。この金額の低さがある意味企業側をして「情報漏えいへの対処の軽視」を助長してしまったともいえる。2002年7月に最高裁判決が出た京都府宇治市の住民基本台帳データ流失事件では、1人当たり15000円という判決が出ていたのにも関わらず、である。
今回、地裁レベルではあるが「6000円」という判決が出たことで、「情報漏えいに対する被害者一人当たりの想定慰謝料」が傘上げされるのはほぼ間違い無い。また、それにより、企業側もより一層情報の管理には慎重になることだろう。
原告・被告が今回の判決に対し、どのような対応をとるか注目したいところだ。
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