村上ファンド、阪神(9043)株式保有目的に「経営参加」を追加
2006年05月22日 21:20
【asahi.com】によると、村上世彰氏が率いる投資ファンド「村上ファンド」(の中核の投資顧問会社【MACアセットマネジメント】)は5月22日、現在発行済み株式の46.82%を保有する【阪神電鉄(9043)】の保有目的について、これまで「純投資」としていたものを「純投資及び経営参加」に変更したと発表した。関東財務局への大量保有報告書の訂正書の提出で明らかになった。村上ファンド側では「経営参加は純投資の手段であり、保有目的ではないと考えているが、関東財務局の指導もあって変更した」としている。
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記事や報告書によれば訂正報告書は、現在村上ファンドの本体であるシンガポールの「MAC ASSET MANAGEMENT PTE. LTD. (マック アセット マネジメント ピーティーイー リミテッド)」が提出したもの。変更期日は5月2日となっている。これは、【村上ファンド、阪神電鉄(9043)に対し身内など過半数9人の取締役就任を要求】にもあるように村上ファンド側が阪神へ取締役8人を派遣する株主提案を公表した日であり、阪神側はこの提案で「村上ファンドの目的は純投資から経営支配に変わった」と主張、そのため関東財務局もこの「5月2日付けにおける変更」を指導したようだ。
法律上は変更届は5営業日以内に提出しなければならないため、5月2日に「あきらかに」目的が「純投資」ではなくなった(「経営参加も純投資の手段」というのは屁理屈に過ぎない。その解釈が許されるのなら何でも純投資になってしまう)ため、タイムリミットの5月12日(金曜)までに何らかの発表・アクションがあるのではないかと当方などでは推測していた。
実際には【村上ファンド、突然の国内廃業。シンガポールに拠点を移し日本の規制の対象外に】にもあるように5月10日に廃業手続・シンガポールへの引越しをしており、問題がウヤムヤになったのではと思われたが、関東財務局など当局側判断の「取締役の過半数派遣提案の段階で純投資ではなく経営参加と見なされる。ゆえに報告をしなければならない」は、実態の移動先であるMAC ASSET MANAGEMENT PTE. LTD.にも当然のことながら適用されたわけだ。
最終的に利益を上げれば目的は適うわけだが、投資ファンド、特に村上ファンドの主目的はあくまでも「売却益の確保」にあり、経営参加にはない。利益の拡大を求めるあまり、泥沼にはまっている(あるいは利益の極限化を求めているのかもしれないが)同ファンドの動向に、注目が集まるところではある。
ただ今回の阪神絡みの過程で、「経営参加」を目的として正式に掲げてしまった・掲げるような行動をしたことにより、他の企業からはこれまで以上に警戒を受けてしまうのは間違いない。村上ファンド側としては今後、株式の買い集めが難しくなることだろう。
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