金融庁、中央青山監査法人に対する7月1日から業務2か月停止とする行政処分を正式発表
2006年05月10日 19:45
【金融庁】は5月10日、カネボウの粉飾決算事件で所属会計士が逮捕起訴された【中央青山監査法人】に対し、不正防止のための内部管理体制に重大な不備があったとし、中央青山監査法人及び同監査法人の関与社員に対し、行政処分を行う発表をした(【監査法人及び公認会計士の懲戒処分について】)。なお発表によれば、手続の進行などに伴い、その他の関係者について、追加的な処分を行うこともあるという。
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中央青山監査法人に対する行政処分内容は、業務の一部停止2か月間(7月1日から8月31日まで)。停止業務は具体的には、証券取引法監査及び会社法(商法特例法)監査(法令に基づき、会社法(商法特例法)に準じて実施される監査を含む)。ただし、決算関係で停止期間中に有価証券報告書を提出しなければならない担当会社については、業務を許されることになっている。今回のように大手の監査法人が業務停止命令が出されるのは初めてのこと。
また、直接関与した会計士らについて、逮捕起訴された徳見清一郎、神田和俊の両会計士は登録抹消、逮捕された宮村和哉(起訴猶予処分)会計士は1年間の業務停止処分も行われている。
今回の処分を受けて中央青山監査法人では謝罪文を公式サイトに掲載すると共に記者会見などで謝罪を行い、関係者の処分を行うとしている。また奥山章雄理事長や理事長代行は今回の処分の事態収拾を見極めた上で辞任するとのこと。
中央青山監査法人が監査を行っている法人は5500社ほどにのぼるが、今回の処分対象となる法定監査企業は2300社あまり。さらに監査法人は業務停止処分を受けた場合、企業決算を監査する法的な資格を失い相手企業との契約が一度切れることになる。今件の処分をきっかけに、各企業の「中央青山離れ」が進む可能性は高い。実際、例えば本日記者会見を行った【新日鉱ホールディングス(5016)】の杉内取締役は「処分内容がビジネスや法的な手続きで事業に影響を及ぼすために、代えざるを得ないと判断した場合、他の監査法人に変更する可能性もある」とその可能性を示唆していた。
なお【asahi.com】の指摘では、監査法人への業務停止処分はフットワークエクスプレスの粉飾決算事件にからんで所属会計士が立件された瑞穂監査法人に2002年に出されて以来のこと。同参照記事が「同法人はその後、解散に至っている。」と締めくくっているあたり、事態の重大さがあらためて思い知らされる。
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