中国が2年後に空母戦闘群配備との報
2006年05月03日 12:30
[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]によるとアメリカの中国語誌【多維月刊】は5月1日、中国が2年後をめどに初の空母導入に踏み切ると報じた。具体的には大連のドックで改装作業中の旧ソ連製空母「ワリヤーグ」が1番艦として転用、南シナ海の海南島三亜に配備されるとしている(【該当記事:中国語】)。
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中国語で「瓦良格」と表記する「ワリヤーグ」については、先に【中国、国産の空母建造を計画か】でも報じたように、春先から中国要人の口などからその計画が漏れ伝えられていた。しかし先の方では「少なくとも5年後」とされており、今回のように「2年後を目途」という前倒しされた計画が報じられたのは初めて。ただし今回もニュースソースは「権威ある消息筋(多維得到權威消息)」とだけあり、正式発表ではない。
もし海南島付近への中国海軍の空母をはじめとした空母戦闘群の配備が現実のものとなれば、これまで台湾海域周辺における有事で(戦闘機の航続距離などの問題から)主導権を握るのは難しいとされていた中国が、大きな軍事的影響力を及ぼしうることになる。当然台湾はもちろん、日本やアメリカの軍事・政治戦略にも少なからぬ影響をもたらすことだろう。
同記事によれば空母の母港となる場所では用地買収はすでに終了し外部工事が始まっているとのこと。陸上施設の着工は遅れ気味とのことだが、これも間もなくスタートすることだろう。また、艦載機にはすでにライセンス生産が行われているSu-27(スホーイ27)が採用されるとしている。
実際に空母とその護衛艦を、含めた戦闘グループとしてまともな戦闘能力を保つまでの質に高め、それを維持するためには(他国からハード・ソフト共に輸入できたとしても)少なく見積もっても5年から10年の月日を必要とする。また、それを高い質のまま維持するにはさらに莫大な費用と労力も必要になる。中国が空母配備を強行に推し進め、しかも(恐らくは人海戦術・多額の資金投与・安全性チェックの簡略化などで)前倒しで推し進めるのは、経済力の向上と軍事的発言力の強化を狙ったものと思われる。
それに、「ハリボテの軍隊」ではないが、極論として実際に高い戦闘能力を確保できなくともかまわないという考えもある。それなりに「威力のある」ように外部に見せ演習に参加させるだけで、外交手段の威圧材料には十二分に利用価値が生まれるからだ。これらを鑑みて費用対効果を計算し、中国では「割があう」と判断したのだろう。
余談として。元記事の直訳を読む限りにおいて、大元の持ち主と中国政府側の間での価格交渉がもつれているとの話も伝えられている。旧ソ連から購入した際の広報活動費などの件でもめているようだ。また、「宇宙衛星を飛ばすだけでなく、空母まで配備する国に経済援助など要らないよな」という日本のODA論争にも飛び火するのは間違いないだろう。
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