ヤクルト(2267)とテルモ(4543)、新型の抗がん剤を共同開発へ
2006年05月19日 06:30
【ヤクルト(2267)】と【テルモ(4543)】は5月18日、両社が協力して新型の抗がん剤を共同開発することを発表した(【プレスリリース】)。今月2006年5月からアメリカで第1相臨床試験を開始する。ヤクルトが独自の研究で発見・開発した大腸がんの化学療法向け物質を、テルモの技術で製剤化するというもの。
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今回両社が開発に着手したのは、抗がん剤の有効成分である塩酸イリノテカン(カンプト注)をリポソームと呼ばれる微小カプセルに封入した独自の薬で、患者に注射するとがん組織の周囲に集まってがんを集中攻撃する。がん組織だけに効率よく薬物を集中させられるので、薬をそのまま注射するより、副作用軽減や治療効果の向上が見込める。
今回の臨床試験では、大腸がんだけでなく胃がんなどさまざまなながんの患者に投与し、安全性と有効性を検証する。進ちょく状況に応じ、日本国内とヨーロッパでもでも順次治験に着手するという。
がん組織が「正常な細胞よりも急激に増殖するために常に血管の新生が起こっていて、このため血管壁組織に数百ナノメートルの隙間が開いている」ことをうまく利用した手法であり、思惑通りに事が進めばかなり有効な手立てとして期待ができる。気になるのは、投与される塩酸イリノテカン(カンプト注)がどこまでがんに有効かというところ。特効薬レベルではないだろうが、やはりそれなりの成果に期待したい。
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