【更新】パートの厚生年金加入義務が「週20時間以上」に拡大へ

2006年05月16日 06:30

時節イメージ[YOMIURI ONLINE]によると政府は5月13日、厚生年金への加入が義務付けられるパート労働者の範囲を大幅に拡大する方針を固めた。これまで労働時間が「おおむね週30時間以上」だった加入基準を、「週20時間以上」にし、範囲を広げる案を軸に検討するという。パート労働者人口が増加するにつれて問題視されている、労働環境の悪化を改善するのが狙い。「再チャレンジ推進会議」が5月中にまとめる中間報告に盛り込み、2009年をめどに実施を目指すという。試算ではこの基準改定により、約400万人が新たに厚生年金に加入することになる。

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パート労働者にしてみれば厚生年金への加入で、報酬に比例して国民年金より多額の年金が受け取れるようになり、老後の所得保障が充実し、不安感が少なくなる。保険料の点でも、全額負担の国民年金(現在は月1万3860円)に比べ、厚生年金は企業と労働者とが半分ずつ支払うので、個人負担は軽くなる。

パート労働者の厚生年金への加入義務枠の拡大は、保険料負担が重たくなるとして、主に外食産業・小売業界などから反発が強い。だがその一方政府としては、賃金や年金保険料の負担を避けたい企業が正規社員の雇用を抑制し、パートを増やすケースがここ数年目立っていることを問題視している。厚生労働省の調査では現在、正規社員が約3100万人であるのに対し、パートは1000万人以上に上っている。この現状が俗に言う「格差社会」を助長しているともいわれている。

このような現状を踏まえ、政府では今回提議した措置により状態の是正を行いたいとしている。一方年金絡みでは「身内びいき」として批難が集まっている、「国民年金第3号被保険者問題」(サラリーマンや公務員の配偶者でパート収入が130万円未満の場合は保険料がゼロとなる)についてはこの制限を「年65万円程度」と制限を強化することを検討しているという。

もちろん今件は「パートの労働環境改善」という大義名分以外に「厚生年金の加入者増加」という狙いがあるのに他ならない。心配なのはこの変更が実施された場合、「週20時間以上はパートとして雇用しない」という会社が増えたり、労働時間の改ざんが増加する可能性があること。後者は違法行為で摘発されればそれで良いのだが、前者の場合はかえってパートの労働環境が(条件的に)悪化してしまう可能性がある。最低賃金の引き上げなり、他の方法も合わせて考慮すべきではないだろうか。

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