ロシア、イランに高性能対空ミサイル「TOR M1」売却、原子力協力も継続へ
2006年04月27日 07:00
【asahi.com】によるとロシアのイワノフ副首相兼国防相は4月24日、訪問先の中国・北京で、核開発を進めるイランへの地対空ミサイルユニット「TOR M1」を契約どおり実施する考えを表明した。イランとの原子力分野での協力も継続するとしており、イランとの対抗姿勢強化と武器輸出の凍結を求めているアメリカとの間で対立が深まりそうである。
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ロシアは2005年12月、地対空ミサイルシステムユニットの「TOR M1」の売買契約をイランと締結。これについてロシア側では「不測の事態が起きない限り契約は履行される」と強調。さらにイランで建設中の原子力発電所への協力についても「核兵器拡散の懸念とは無縁の計画」として支援を続ける考えを示した。
今回売却される地対空ミサイルTOR M1とは旧ソビエト連邦の時代から使われてきたもので、西側諸国における名称はガントレット。派生型として艦対空ミサイルSA-N-9が存在する。SA-8ゲッコーの後継として開発され、1986年から実戦配備が行われている。いわば20年ほど前から存在するもので「最新型」というわけではないが、それなりに高性能な地対空ミサイルユニットとして知られており、ギリシアや中国に輸出されている。
形状は装甲車両の上にレーダーとミサイルが乗った一体型のもので、最大48個までの目標を追尾する能力を持ち、航空機やヘリだけでなく無人機、巡航ミサイルなども破壊できる能力を持つ。射程は1.5キロから12キロとされている。「色々と」考えているアメリカとしては、非常にやっかいなものであることに違いはない。
アメリカは今件について契約が履行されないよう希望する旨を表明し、関係国があらゆる機会を使って圧力をかけるべきだとしている。一方ロシアはイランとの間の経済協力関係を優先にする方針を鮮明にしており、今後国連などにおける論議(とアメリカ内部での「検討」)にも影響しそう。
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