「信用取引規制強化」の噂は某社のレポートが発端!?
2006年04月25日 19:30
先週後半から昨日にかけて、特に週末から月曜にかけて市場が大きな下げ基調となった一因として挙げられていたのが、「信用取引の規制強化が行われるのではないか」という噂がちまたに流れたことによるマインドの引き締め感。今回の噂の出所は某有名証券会社によるレポートであることが明らかになった。
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【東京証券取引所】による全般的な【信用取引の規制強化】は【過去にも年末あたりから(東証、市場の過熱感から16年ぶりに信用取引の規制強化へ)】報じられているとおり、インターネットにおける信用取引が急増している現状を受けて検討に入ったという話が持ち上がっていた。
具体的には信用取引の際の担保株式の評価比率を引き下げ、同時に担保として差し出す委託保証金の割合を高めるというもの。ただこの全銘柄への規制が仮になされれば、バブル崩壊に対処するためそれまで行われていた規制を緩めた1990年以来の変更となりうる。要は、「信用取引のために担保とする株式を低めに評価するから、あまり無茶なことはできないようになるよ」というもの。
状況次第では健全な市場育成と運営のために必要な措置ではあるが、現在信用取引をしている投資家にしてみれば「評価額が下がって追証が発生するかも」「運用額が減る」という危惧が起きることになる。当然、投資への態度は慎重にならざるを得なくなり、早めに手持ち株式を現金化し、安全策を採る方向へマインドが移行する。
今回某証券会社のレポート内で「可能性」として指摘されたのは、
委託保証金率:30%→40%
代用有価証券掛目:80%→70%
とするもの。それぞれ10%の変更を検討している、という話だが、株価そのものの変動が激しい新興市場銘柄や中小型銘柄にとっては、10%もかなり大きな影響を及ぼしうる。
と、なれば、ここ最近、特に新興市場銘柄が軟調なのも道理がいくというもの。元々「値がさ・国際優良株はオイルマネーや投資ファンドなどが断続的に買いを入れているので値がつりあがる」「個人投資家らもその上昇に追随する形で買いを入れ、資金調達には新興市場銘柄を売却してあてる」という図式があるとされていただけに、ますます新興市場の軟調さを助長することに他ならない。
特にネット証券による取引が活発となった昨今では、連鎖反応的・大衆心理に基づいた株価動向が顕著なものとなる。今後東証が具体的にどのような動きを見せるのかは不明だが、東証自身も昨年から信用取引規制強化を模索していることは事実であるし、先のライブドア絡みのシステム能力問題もひとつの山場を越えた今、新たなアクションを採る可能性は十分考えられる。
規制強化があろうがなかろうが、というのが当たり前なのだが、維持率が追証スレスレな信用取引はくれぐれも慎むようにするのがかしこい選択といえよう。ましてや「二階建て」など言語道断。投資はあくまでも自己判断・自己責任ではあるが、それは同時に、基本的に自分へ全責任が覆いかぶさることを表してもいるのだから。
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