証券取引等監視委員会、インサイダー取引で上場企業へ初の課徴金

2006年04月18日 07:00

株式イメージ【証券取引等監視委員会】は4月17日、インサイダー取引を行ったとして光学フィルター大手の【フジプレアム(4237)】本体と、フジプレアムの役員一人に対し、課徴金計255万円の支払いを命じるように【金融庁】に対して勧告した(【発表リリース】)。インサイダー取引へのペナルティ自身は珍しくないが、上場企業による自社株買いをインサイダー取引と認定したのは、2005年4月に課徴金制度が導入されてからはじめてのケース。金融庁側でもすでに今件に関する審判手続き開始を決定している。もし会社と役員は証券取引等監視委員会の勧告に異議がある場合、公開の審判廷で争うことが可能。

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リリースによればフジプレアムは2005年10月6日に株式分割を発表しているが(【発表リリース、PDF】)、この発表が行われる前に株式分割の事実を知った上で 1)会社の資金を使って1000株を取得(自社株買い扱い)、2)個人資金で6100株を取得 している。社長もこの行為を容認していた。

当時はまだ株式分割が行われてから実際の子株が市場に還流するまでに時間を要しており、「分割イコール株価上昇」の法則が通用していた時代。同社株式も分割が実施された11月7日に一時ストップ高となった。

なお課徴金の額は不正で利益を得たか否かに関わらず、株式の購入時と分割発表の翌日の株価の差で決め(【計算方法、PDF】)、フジプレアムは42万円、該当役員が213万円となっている。

今件に伴いフジプレアム側でも声明を発表しており(【発表リリース、PDF】)、インサイダー取引があったことを認めると共に、社内体制の強化と再発防止に取り組むとしている。だが具体的にどの役員が今取引を行ったのか、そしてその役員などに対する処罰などは一切明らかにされていない。

事実上会社による自社株買いの株数より該当役員の購入株数の方がはるかに高いあたり、個人による取引のついでに会社の自社株買いも行ったという感が強い。とはいえ仮にも上場企業の役員たるものが、インサイダー取引の知識が無かったのでついやってしまったという言い訳は通用しない。今回のように法的な処分だけでなく、フジプレアム内部でも厳正な処罰が必要になるだろう。

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