公立病院の治療代未払い急増中
2006年04月10日 06:30
【asahi.com】によると、都道府県や政令指定都市が運営する全国248の公立病院で、患者から支払われていない治療代(1年以上の未収金)が昨年2005年3月末で、1病院あたり3300万円ほどにのぼっていることが明らかになった。3年前と比べると1病院あたりの額が1000万円ほども増え、中には1億円を超している病院もあったという。この未収金増加の原因について自治体の多くが「低所得者の増加と医療費の自己負担引き上げが原因」と回答しているとのこと。
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記事では治療代未払い急増の理由を、病院側回答の「低所得者増加」「医療費自己負担引き上げ(2割負担が3割負担になった)」だけでなく、後者も含めた医療制度改革も一因であるとしている。未収金が増えればそれだけ病院の収支が悪化するため、各自治体とも対策に苦慮しているという。
詳細は参照元記事にゆずるが(県毎の平均では病院数の問題もあるが、1億3093万円から98万円まで大きな開きがある)、未収金発生の原因としては
・低所得者の増加(生活困窮者、年金生活者、多重債務者、無保険者、失業者)
・医療費の自己負担増(高齢者やサラリーマンの負担増、高額療養費制度の改定)
・患者のモラル低下(治療後連絡がとれなくなるケースも)
などがあげられている。また、制度上の問題で、保険適用がなされるにも関わらず、一度全額を払わねばならないために未払いとなるケースも増えているという。
例えば高額療養費制度では、これまで「一度患者が支払った後に申請し、払いすぎた分が返還される」仕組みから、「自己負担分だけ払えばOK(制度対象額ははじめから払わなくてもよい)」システムに変わるなど、ルール上の変更によって未収金問題を解決していこうという動きもある。
だが、負担そのものの増加と所得の逓減などは医療制度改革ではまかない切れない問題なのも事実。今後未収金問題はますます深刻化するに違いない。アメリカの病院のように割り切って、「救急車を呼ぶのも有料」とするのも一つの手ではあるのだが……。
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