金融庁、JPモルガン信託に半年間の不動産信託業務停止命令
2006年04月06日 07:20
【NIKKEI NeT】によると【金融庁】は4月5日、【JPモルガン信託銀行】に対し、証券化を引き受けた不動産の審査体制がずさんだったとし、銀行法などに基づき不動産信託業務を4月13日から半年間停止するよう命令した(【発表リリース】)。金融庁ではグループ各社の法令順守チェック機能がまひしていたと判断し、今回の異例なまでの重い処分を下すことになった。
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記事によれば金融庁が問題視したのはJPモルガン信託内での審査体制。金融庁幹部のコメントとして記事では「所有者に信託された不動産の審査を行わず、通常なら証券化の対象にならない違法建築や評価をかさ上げした物件まで金融商品としてまとめて証券化していた」とし、審査体制そのものが有名無実なものとなっていたとしている。さらにJPモルガングループでは証券や銀行など、グループを横断して法令順守をチェックする組織もあったが専門性の低い人材が多く、このチェック機能も正常に作用していなかったとのこと。リリースでは「銀行の健全で持続的な成長を確保することが基本責務である監査役及び監査役会が適正に機能しておらず、特に、監査役による業務監査が実質的にはまったく行われていない」という厳しい表現も用いられている。
金融庁ではこのチェック体制の不備も重視し、JPモルガン信託とJPモルガン・チェース銀行に対し、内部管理体制の充実と、法令順守体制の強化を求める業務改善命令を出している(【発表リリース】)。
今件についてJPモルガン信託銀行側ではリリースを出し(【発表リリース、PDF】)、「今般の事態を極めて厳粛に受け止め、再発防止に万全を期すべく法令遵守および内部管理態勢の確立・徹底に努めてまいる所」とし、指摘のあった件を是正して業務改善を行うことを明らかにしている。また、業務停止中も不動産管理処分信託および不動産に関連する受託業務以外の信託業務、資産運用業務、また日本におけるJPモルガン各社の業務は平常通り行われる。
外資だろうと国内資本だろうと、いくら規模が大きいからといって傍若無人に振舞い、でたらめな行為をすれば、それなりの報いがあるという好例といえよう。今件が一罰百戒として、他のグレーゾーンなところもそのような行為を改めてくれれば良いのだが。
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