オーストラリアの野党労働党、政府にF-35の代わりにF-22を購入するよう進言
2006年04月10日 19:30
【The Australian】が報じたところによるとオーストラリアの【野党労働党】は政府与党に対し、現在アメリカやイギリス、イタリアやカナダなどと共同開発を進めている次期主力戦闘機F-35 JSF(Joint Strike Fighter:統合攻撃戦闘機、つまり何でもありの軍用機)の代わりに、F-22 Raptorを購入するよう進言したという。
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F-35はアメリカやイギリスなどが予算削減のために共同して開発している【ロッキード・マーチン社】の次期主力戦闘機。合計で少なくとも3000機以上は生産される予定。【NIKKEI NeT】にもあるようにようやくアメリカ本土での実戦配備が承認されたが、それとて2009年にようやく第一号機が納入される予定。超音速・ステルス性能完備・空軍海軍用など多種軍種向けに製造される、万能高性能(そして高価格な)戦闘機。
オーストラリアでも現在F-35を次期主力戦闘機として導入する予定だが、野党は「アメリカですら導入が遅れているというのに当初予定の2012年までにF-35が導入される保障などどこにもない」「価格の上でF-35を選定したとあるが、価格考察の段階で意図的な”配慮”がなされた可能性がある(政府側はF-35は4500万米ドルですむがF-22は1.5億米ドルもする、と主張した)」などとし、F-35の導入には否定的である。一方で、アメリカ軍内部でもようやく装備が進みつつある最新鋭戦闘機F-22をそう易々と(開発に携わっていない)オーストラリアに売るだろうかという懸念も示唆している。
なお現行の主力戦闘攻撃機F-111と次期主力戦闘機とのブランクにはF/A-18の改良型を配備する予定。
軍の最大の敵は天候でも補給でも敵の強大な兵力でもなく、予算と時間に他ならないという言葉がある。今回のオーストラリア国内におけるF-35にするかF-22にするかという戦闘機選択問題も、この予算と時間の問題が大きく関わっている。「兵装運搬のプラットフォーム」と割り切れば、それこそ代替機のF/A-18のままでも十分問題ないようにも思えるが、周りの各国が新型装備に変換することや、少なからぬ予算を投入してF-35の開発に関与している以上、F-35を選ばねばならないのだろう。
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