吉野家(9861)、「9月に牛丼復活」との指針発表

2006年04月08日 07:40

吉野家イメージ【吉野家D&C(9861)】は4月7日行われた決算発表において、2006年9月から牛丼販売の一部再開を見込んでいると発表した。現在アメリカからの牛肉輸入は停止処置がとられているが、これについては「技術的に解決できる問題(であり9月までには再開できるはず)。できなければ怠慢だ」とし、早期の輸入再開を強く求めている。

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吉野家では輸入再開を想定した9月以降において、毎月1000トンのアメリカ産牛肉を調達できると想定。これは輸入停止前の3分の1程度となる。概算で1店舗あたり300~320杯/日。時間限定・数量制限販売となるもよう。この輸入再開を前提に、販売再開後は集客数が現在の500人/日から600人/日へ傘上げされると見込み、業績の大幅回復をももくろんでいる。なお、販売再開後の牛丼の価格は現時点では未定。

現状の財務状況においては、味の改良・値上げで採算性を再考察した豚丼のセールス好調で客単価も上昇し、売上や収支改善がなされたという。

発表リリース(【平成18年2月期決算短信(連結)、PDF】)では具体的な牛丼販売再開の話は記載されておらず(「売上高1,351億円、前年同期比20.2%の増加、経常利益53億円、前年同期比143.0%の増加、当期純利益22億円(前年同期当期純損失3億87百万円)と増収増益を見込んでおります」とあるがその理由に牛丼販売再開の言及はない)、さらに繰り返し「(アメリカ産牛肉の)輸入再開の不透明感」との表現がおこなわれている。一方、今回の「9月には牛丼販売再開の見通し、増収増益はそれを盛り込んでの話」という内容は、発表会において安部修仁社長の口から語られている。

吉野家側の主張の通り、一連のアメリカ産牛肉問題が「技術的」に解決できるのは誰もが分かっている。それがいまだに解決できず先行きが不透明なままなのは、輸入に関するルールとそのルールを守る仕組みで当事者らによる怠慢があるからで、一部報道で指摘されている「政府側が怠慢だから」という問題ではない。

吉野家にしても、主力商品の牛丼が「アメリカ産牛肉利用が前提」である以上、焦りを隠せないのは理解できる。牛丼販売の通常販売の長期停止は単に収益率低下の問題だけではなく、ブランド力や中長期的なシェアの逓減をももたらすからだ。そして「関連調査機関が言ってるのだから技術・安全面で問題はない」という大義名分もある。さらに100%完全に安全なものなど無いというのも実情。

とはいえ、政治的・利益誘導的思惑が先行しているようにしか受け止められない状況で、消費者の安全を第一に考えるべき食品提供会社が、安全は二の次と受け取られても仕方が無いような発言をするのはどうなのだろうか。

やはりここは、消費者に選択してもらうのが一番なのではないだろうか。つまり、早期にアメリカ産牛肉の輸入再開を果たしてもらい、その上で国産牛肉とアメリカ産牛肉両方の牛丼を消費者に提供する(無論味付けや値段は別々になる)。そしてどちらを食べるのかは一人一人が選ぶ、ということだ。安全だと思う消費者はアメリカ産牛肉製牛丼を食べればいいし、不安を感じたら国産牛肉のを食べれば良いだけの話。

吉野家以外の一部焼き肉店などでは同様の措置が採られているという話も聞く。初期投資は多少かさむし、両方を混ぜたり取り違えたりすることの無いよう厳密な管理が必要だが、結局はそこにいきつくのではないかと思われる。

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