【更新】カプコン(9697)、51億円の申告漏れを指摘される

2006年04月01日 09:30

ゲームイメージ[YOMIURI ONLINE]などによるとゲームメーカーの【カプコン(9697)】は3月31日、海外子会社との取引を巡って、大阪国税局から2005年3月期までの6年間に約51億円の申告漏れを指摘されたことを明らかにした(【発表リリース】)。国税局はカプコンに過少申告加算税を含め約12億円を追徴課税したが、カプコンはこれを不服として申し立てを行うと発表した。

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記事やカプコンのリリースなどによれば今回の申告漏れは、カプコンがアメリカの子会社から受け取ったゲームソフト製造販売権の使用許諾料について、国税局側が「価格を不当に安く設定しており(「取引価格が独立企業間価格と異なる」という表記がリリースではなされている)、本社の利益を子会社に移したことになる」と判断。そこで日本で申告すべき所得が国外に移動するのを防ぐ移転価格税制を適用し、申告漏れであると指摘した。

カプコンは今件につき「公正な手続きの中で当社の主張が認められ、当社として納得できる結論が得られるよう努めてまいります」としている。

また今回の指摘によりカプコンは、業績予想の修正も発表した(【発表リリース】)。修正により連結ベースで経常利益は前回予想の10億円減の64億円、当期純利益は24億円減の65億円となる模様。追徴税額は地方税を含めると17億円と試算される。

記事では同様に、化学薬品メーカーのも海外子会社との取引において同税制の適用を受けて申告漏れを指摘されたと発表【発表リリース、PDF】、同社も不服申し立てをする。

今回はいずれも、「使用料への対価が通常の取引と比べると不当に安く見積もられ」、「その安くした部分を海外の利益に差し替える」という指摘によるもの。具体的には【財務省の移転価格税制解説図解ページ】が詳しい。例えるのなら「(1ドル115円レートの時に)日本で110円で一般には販売する商品を海外子会社に50円で売却、海外子会社がこれを1ドルで売ると、通常なら115-110=5円の利益を海外子会社が得るところを115-50円=65円もの利益を得られる。その分、110-50=60円分日本国内の本社は余計に経費がかかる」という形。

単純に海外子会社に利益を移すほかに、海外子会社の赤字を補填したり、税制上の違いから「国内外をあわせたグループ全体で税金を安く済ませよう」という場合に使われる。なお移転価格税制の適用において、納税者側に租税回避の意図があったかどうかは一切考慮されない。

とはいえ、現物が存在する商品ではなく使用料や著作権料など、形の無いものに対する対価の場合、適正な価格であるかどうかの判断は一概にはつきにくい。価値判断は買い手と売り手の思惑によるところが大きく、第三者や市場の相場とかけ離れていても当事者が納得すれば(そしてそれが理にかなうものであれば)「適正なもの」となりうるからだ。今回国税局の指摘に対して両社が不服申し立てを行ったのも、その点からのものだろう。

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