新生銀行(8303)がこっそりとATMの他行カード手数料有料化

2006年04月07日 12:55

株式イメージ【新生銀行(8303)】は3月27日から、他銀行のキャッシュカードを使って新生銀行のATM(現金自動預払機)から預金を引き出す際の手数料の有料化を行った(【発表ページ】)。これまでは2001年6月以降無料扱いだった。同時に新生銀行のカードを他銀行のATMで無料利用する時間を拡大することで、利便性の向上と他銀行の顧客を自銀行に呼び込む狙いがあるという(【参考:Fuji Sanke Business i】)。

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そもそも新生銀行が他銀行のカード手数料を無料にしたのは、認知度を高めて顧客の増加という狙いがあった。たとえ小口の銀行口座でも開設してもらえれば、そこを足がかりにして投資信託、住宅ローンなど、各種金融商品を提案することが可能になる。まず「はじめの一歩」としての銀行口座開設は、銀行にしてみれば一番大切なワンステップというわけだ。

とはいえ、手数料無料だからこそ新生銀行に口座を開いた人も少なからずいる。今回の手数料有料化によって口座閉鎖まではいたらないものの、利用回数を減らしたり、メインバンクを別の銀行に移す人もいるだろう。また、たとえ時間帯を拡大したとしても、「他銀行のATMで、特定銀行のカードを使っても手数料が無料」という話など類似サービスは他銀行も追随している(例えば【東京スター銀行(8384)】では、自社ATMを使った場合全国の提携金融機関のキャッシュカードでも引出し手数料が無料)。今回の無料サービス終了は、新生銀行ならではのアイデンティティを喪失する可能性も否定できない。

なによりも、利用者にとってはかなり重要な問題であるこの変更について、トップページはおろかニュースリリース、IRリリースなどでほとんど告知をせず、比較的分かりやすい場所での掲載にしてもATM関連ページに移行してはじめて参照できるリンクへの表示がされており、かつその説明ページでもタイトルでは「提携金融機関ATM利用時間拡大について他」というように「他」扱いしている。いかにも「こっそり値上げしましたという告知はしなければならないけど、あまり広めてほしくないからできるだけこっそりと気が付きにくいように掲載しよう」という姑息さが見え隠れしているようで、イメージとしてはあまり良いものではない。

口座利用者には選択の自由がある。今回の措置で、新生銀行利用者がどのような判断を下すかは、利用者個人個人の自由ということを書き記しておこう。

※追記:コメントなどで「既存口座開設者にはメリットのみで、他行利用者にとって使いにくくなるだけの話」「自行利用者向けのサービス改定ではないからおおっぴらに告知しないのは当然だ」という指摘があった。それも一理あることを書き記しておく。

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