金融庁、「グレーゾーン金利」の変更について6月に提言

2006年04月09日 08:30

[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]などが報じたところによると【金融庁】は消費者金融など一部貸金業に例外的に認められているものの、社会問題にもなっている「グレーゾーン金利」を無くすかどうかについて本格的な検討に入ると共に、今年の6月を元に提言をまとめることになった(【検討会資料ページ】)。

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現在の貸金業の制度では利息を取扱った利息制限法により金利上限は20%と定められているが、貸金業者に限って「借り手の同意があり任意で支払う場合」は出資法に定めた金利上限29.2%で貸し付けることができる。「グレーゾーン金利」とはこの利息制限法と出資法の間の金利のことを指す(特約を設けて出資法を適用させる)。利息制限法が有名無実になっているのではないか、制度的に不透明ではないかという批判が多い。

利息制限法と出資法、グレーゾーン金利
利息制限法と出資法、グレーゾーン金利

そこで金融庁が開いた検討会では、「出資法の基準にまで金利を引き上げる」「利息制限法の基準にまで金利を引き下げる」「両法の中間金利範囲内、つまりグレーゾーンの範囲内で新しい上限基準を作る」の3つの案を策定。この案に基づいて議論を進めて6月には提言をまとめることになったという。

先に指摘があった通り、このグレーゾーン金利は利息制限法を事実上形だけのものにしていると共に、現在の消費者金融にとっては「稼ぎ頭」な存在でもある(通常の法的上限の1.5倍近くまで利息を取れるのだから当然だ)。だが法律の不透明さ・あいまいさが指摘されると共に、利用者保護の観点から明確化すべきだとの声が高まりつつある。また今年の頭にはある事例について「特約は借り手に出資法を事実上強制するものだから適用はできない、つまりグレーゾーン金利は適用不可」という最高裁判決が出ている。さらに金融庁内部でも「利息制限法は撤廃し、出資法の柔軟運用で規制すべきだ」との意見が出ている。

今回の金融庁の検討会と指針決定はこの最高裁判決に基づいた動きだが、一方で消費者金融、特に[武富士(8564)][アイフル(8515)][プロミス(8574)][アコム(8572)]【三洋信販(8573)】のような消費者金融会社大手はグレーゾーン金利の撤廃(というより出資法の上限である29.2%が使えなくなる)に断固反対の立場を崩さないでいる。

現状で出資法が事実上適用されて利息制限法が形骸化しつつある以上、混乱と誤解を避けるためにも利息制限法は廃止しても良いのではないかと思われるが、そうなると法規制による利息上限をどこに設定するのかが問題となるだろう。貸し手側は高い方の29.2%(自らにとって事実上の現状上限)を望み、借り手側(とその世論に後押しされている金融庁など)は利息制限法の20.0%を希望するのは当然。歩み寄りがなければまとまらないか、法律策定側のごり押しが行われるということになる。

「案3」の、利息制限法と出資法の中間、例えば25.0%あたりを新たな出資法の上限金利とした上で利息制限法を廃案とし、利息制限法の内容を出資法に含ませる形で改法する、つまり「三方一損」の形でまとめるのが無難ではないだろうか。


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(最終更新:2013/08/28)

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