【更新】ウクライナ配備の核弾頭250発が所在不明。イランへ密売の可能性も
2006年04月04日 07:00
[YOMIURI ONLINE]によるとロシアの著名軍事専門家であるパーベル・フェルゲンガウエル氏は4月3日付けのロシア週刊誌「ノバヤ・ガゼタ」で、ソ連(かつてのロシア、ソビエト社会主義共和国連邦)崩壊直後までウクライナに配備されていた戦術核弾頭250発が行方不明になっている問題について、一部が搭載用巡航ミサイルと共に核武装化を追及しているのではないかと懸念されているイランに向けて密売された疑いを指摘している。
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ポーランド・ルーマニア・ロシア、そして黒海などに接し、キエフを首都とし、人口約5000万人のウクライナは1991年のソ連崩壊後、非核兵器国としての立場を表明すると共に、自国領内に配備されていた核弾頭をロシア本国に引き渡した。だがウクライナ議会の報告では、核弾頭において「ロシア側が受け取った数」と「ウクライナが引き渡した数」の間に250発もの開きがあり、その食い違いについて明確な説明がされていない、帳簿上の差分である250発が行方不明になっていると警告を鳴らしている。
さらに同氏は、ウクライナの検事総長が旧ソ連製巡航ミサイルX55(射程3000キロメートル)18基が2001年に同国からイラン・中国に密売されたと報じられた点についてこれを認めたことを指摘し、このミサイルが専用核弾頭と共にイランに流れたのではないかとしている。なお記事中の写真は問題のX55である。
……ということなのだが、「ウクライナの核弾頭が行方不明になっていてイランに流れたのでは」という話はすでに2005年12月の段階でウクライナのセンチェンコ議会調査委員会の報告して報じられている。それによると、核弾頭以外にもソ連から引きついだ戦車・装甲車・航空機・ヘリコプター・ミサイルなど陸海軍兵器320億ドル相当の兵器が帳簿上から消えて無くなり、多くが違法に海外に持ち出された可能性が高いとしている。これらの「行方不明」にはウラジーミル・ゴルブニン国家安全保障国防会議書記兼国防相(当時)ら旧政権の高官が関与していると指摘されている。一言でいえば「旧政権のトップらが火事場泥棒で大儲け」という図式なのだろう。
軍事専門家の言及であるとはいえ、数か月前のニュースが何故この時期に掘り起こされたのかという疑問もあったが、核技術開発絡みでイランはアメリカを始めとする大国らともめている最中であり、さらに自国国力を誇示するために同国は最近になって特に挑発的態度を繰り返している。先日も「水中高速発射ミサイルの実験に成功」や「新型魚雷の実験に成功」などと、ホルムズ海峡に展開しているアメリカ海軍をけん制するような発表を相次ぎ行っている。
逆に考えれば、今回の元記事の報道は、過去の報道を掘り返して連想・推察すると、あるいは、もしかして、という状況に現状が進んでいることを示唆しているのかもしれない。ちなみにイランから「3000キロ」というと西はドイツ、東は中国あたりまでとなり、中東地域一体は丸々収まってしまう。近隣諸国にしてみれば脅威以外のなにものでもない。
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