電気用品安全法(PSE法)、事実上の中古品販売容認へ方針転換

2006年03月25日 12:30

PSEマークイメージ各種報道機関がすでに報じている通り、【経済産業省】の福田秀敬・消費経済政策課長と【PSE問題を考える会】の小川浩一郎代表は共同で記者会見を開き、国の安全基準に適合していることを示すPSEマークがない一部家電製品の事業者による販売が4月から電気用品安全法(PSE法)で禁止されるという問題で、4月以降も当分の間はPSEマークが無くとも販売を事実上認めることを発表した(【参照記事:Mainichi INTERACTIVE】)。

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詳細は各種記事などを参照してほしいが、要件をまとめると「法施行そのものは変えない」と経済産業省側の主張はそのままに、「自主検査でマークを付けるまでの間は、同マークを義務付けた電気用品安全法の対象外となっているレンタルと見なす」ことで、販売を事実上認めるということになる。

なお「レンタルと見なす」解釈措置について経済産業省側では「検査機器が行き渡らないという現状をかんがみて」としており、「検査機器が行き渡った段階で安全性を業者が点検してPSEマークを付ける」と説明している。だが、自主検査をしない業者が出てくる可能性も指摘されているし、マークなしの事実上の販売を認める期間も現在のところ「数か月」とのみ表現し、明確には定めていない。

また、業者間の売買においても、輸出を前提とすれば(国内法の規制が及ばない海外向けの輸出ならば)マークをつけずに販売できるようにと対応をあらためることになったと[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]では報じている。ただしこちらも「本当に輸出に輸出に振り分けたのかどうかを確認することはしない」ということから、事実上の「業者間取引容認」と受け止めることもできる。

経済産業省では前日23日まで、【PSEマーク:制度の見直し改めて否定 経産省事務次官(Mainichi INTERACTIVE)】にもあるように事務次官が「制度の見直しはしない」と発言するなど、関係各所からの反発や意見具申にも関わらず猶予期間の終了と制度の施行をあらためて強調していた。それが一転して今回、いわば経済産業省から見れば「目の上のたんこぶ」的存在である考える会と共同で記者会見して方向転換を発表するあたり、「何かが起きた」可能性もある(そもそも今回の発表も、経済産業省内で十分に周知した上で発表されたわけではない、という話も)。あるいはやはり【坂本龍一氏、経済産業省の補正措置に「意図がみえみえ」とし電気用品安全法見直しを訴え】にもあるように、坂本龍一氏らの「何がビンテージかはお役人に決められる問題ではない。楽器を除外すればミュージシャンが黙るだろうという意図がみえみえだ」発言が影響したのかもしれない。

とはいえ、基本法についての見直しはまったくされておらず、今回の「事実上の中古販売容認」は文書化されていない口頭での解釈・判断での容認であるので、いつ何時突然に「(周知・準備は十分に済んだと判断したので)厳密に解釈するよう方針を転換しました」となる可能性は十二分にある。

また、法の解釈を勝手に大胆に省庁が変えることで、「そんなことするのならそもそも【法務省】など必要ないではないか」とする意見もあるし、「レンタルと見なすと言われでも、それでは中古品販売の際の所有権や財産権、財務上の取扱はどうなるのか」など、多方面に渡り解釈上の問題点が提議されている。

下手にほころびを取り繕うとするから、よけいにあちこちボロが出て、収拾がつかなくなってきている感が強い電気用品安全法。やはり一度成立前後から細部に渡り検証をしなおし、合理的な形にして再施行するなり修正するなり廃案にした方が良いのではないだろうか。

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