「ダンピング」「ライバル壊滅」「値上げで荒稼ぎ」突然5割値上げした割り箸に見る中国流ビジネス
2006年03月29日 19:50
【NIKKEI NeT】によると、コンビニや弁当などの外食業界に、割り箸(はし)の値上げという新たな問題が浮上している。例えばある大手コンビニエンスストアでは2月下旬に、店舗向け割り箸の価格を、オーナーからの反対の懸念があったにもかかわらず15%上げた。また「ほっかほっか亭」を展開する【プレナス(9945)】も、この春に店舗へ販売する割り箸の価格を4割上げるという。これも元をたどれば「中国リスク」のひとつとのこと。
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詳細は元記事を参照してほしいが、簡単にまとめると割り箸の輸入元の中国が日本に対し「5割値上げする。いうこと聞かないと輸出数量制限だ」と告知してきたことに事は始まる。現在割り箸のほぼ100%が中国産なので、拒否すれば割り箸不足に陥るため、聞き入れざるを得なかった。もともと10年前ほど前から中国は日本に割り箸を輸出しはじめ、この10年で4割ほど価格を下げ、市場を支配してしまった。その上での大幅値上げ。
一応中国側の値上げ要求にも理由がある。住宅着工が増えて原材料が高騰しているというのだ。また、人民元の切り上げや人件費の高騰、税制度の変更、さらに中国政府の後押しというおまけつき。市場独占・中国依存度があまりにも高いため、俗に言う「カントリーリスクの回避」も難しい状況にある。さらに、一度値上げで終わる可能性は低く(言葉は悪いが「味をしめる」と)次の値上げが待っている。安いから、との理由だけで中国産を利用してきた意味はすでにない。
国内外で例えば公正取引委員会などが厳しく取り締まっている「ダンピングで市場独占を果たし、ライバルをせん滅。その上でダンピング前より値上げして荒稼ぎ」という、まさにダンピング戦略のお手本のような形に他ならない。
また、日本国産の割り箸が使われなくなったのはコスト以外に、どこの国の国籍を持っているのかわからないような方々による、「割り箸を使うと環境破壊につながる」というスットコな主張に押されてしまったところも大きい。実際には日本の割り箸はほとんどか「間伐材」(住宅建築用木材として使われる木々を育成するために間引かれ、普通は製品化されることなく廃棄されてしまう木材)で作られているので、環境破壊どころか地球に優しい商品であるにもかかわらず、だ。
ダンピングやカントリーリスクという、国際化におけるさまざまな危険性が露呈された割り箸問題。他の分野でも似たような事象が次々起きてくるだろう。そうなる前に「手を打つ」必要があるかもしれない。また消費者側としては、国産の割り箸を使う、とまではいわないが、例えば自分の手持ちの箸(マイ箸)などを使うように習慣付けるのもひとつの手だ。『楽天市場などでマイ箸と調べると』案外色々製品化されているのがわかるだろう。理不尽なことに対し、身近なことで少しでも対処ができる。しかも地球に「本当の意味で」優しいのなら、やってみて損はない。
コンビニや外食産業にしても、もう中国産を使うメリットはないのだから今からでも少しずつでも良いので日本産に切り返すなどの手法を採ってもいいのではないだろうか。コンビニでも(すでに一部では実施されているが)箸を別売り有料にするとか……。
(最終更新:2013/09/04)
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