経済産業省、電気用品安全法の事実上の方針転換で業者に説明
2006年03月26日 17:45
安全性を示すPSEマークを検査の上取り付けないと、中古家電を事業者が販売出来なくなるという電気用品安全法(PSE法)について、これまでの方針を一転してマークが無くとも事実上販売を許諾した件(【電気用品安全法(PSE法)、事実上の中古品販売容認へ方針転換】)に関し、監督官庁の【経済産業省】は3月25日、中古品販売業者が東京都内で開いた集会に福田秀敬・消費経済政策課長が出席、周知不足による混乱を謝罪した([このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています])。
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集会では方針変更について説明すると共に、「大変ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪、さらに「メーカーとばかり話してきて、循環型社会という大切な役割を(中古品販売業者と)十分話し合わずに進んだのが一番の反省点」と、実情を説明した。
ただ、今回の方針変換は明文化されたものでなく、先のコメントでも「数か月は」とあいまいながらも期間が限定されており、ほとぼりがさめた時点で再度これまでのような形に方針を再変更する可能性は捨てきれない。また、会計処理上の問題など明示されていない点も多い。
さらに福田課長のコメントからも分かるように、これまで一部の利害関係者とのやりとりだけで話を進めてきたのを当事者側から認めている。これはこれで問題だろう。もちろん、100%すべての関係各所と詳細なやりとりをしながら事を進めるのは不可能だが。
今件は過去の資料を調べた限りでは、経済産業省側も中古関連は大まかな部分で気が付いておらず、昨年末に「大規模な影響があるのでは」とする指摘があってはじめて認識した感が強い。そこでさらに「はじめから認識していた」「書いてないから中古も含まれる」と無理に現状のまま推し進めようとし、ほころびが段々と大きくなり、手が付けられなくなった雰囲気がある。
「大人」なら、気が付いた時点で振り返り、状況に応じて方針変換するだけの柔軟性を持ち合わせるべきなのだが、経済産業省側もそこまで「出来る大人」がいなかった、あるいはそのような体制になかったのだろう。
だが先日以降、福田課長が【PSE問題を考える会】と共に方針変換の記者会見に臨んだり、今回「申し訳ない」「反省点」という言葉が福田課長という部課長クラスの人物の口から出るあたり、(何らかの「力」が加わった雰囲気はあるが)少なくとも今件については良い方向に向う兆しが見えているのも事実。
成立プロセスや周知内容、対応など、特に運用施行段階での問題が目立つものの、趣旨や求めるものについてなど、電気用品安全法そのものがまったくの悪法というわけではない。「そもそも論」にまでさかのぼってしまうが、そもそも法律とは何なのか、誰のために、どうして存在し、改正され、施行されるのか、関係する人すべてがよく考える必要があるのだろう。
法は縛られるために存在するのではなく、活用するために存在するのだから。
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