企業買収防衛と株主優待との素敵な関係

2006年03月22日 06:30

年度末をひかえ配当を増やすだけでなく株主優待を新設したり拡充する上場企業が増えているが、それらの動きは企業側の「企業買収防衛」の取り組みの結果でもあるとする分析が【産経新聞】に掲載された。いわく、株主持合の解消が進む中、個人投資家の安定株主化を狙うのだという。

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記事でも指摘されているが、株式持ち合いの解消やM&A(企業の合併・買収)の増加から、企業側では個人株主の獲得を狙って優待制度を積極的に活用する動きがあるという。株主優待の新設だけでなく、長期間株式を保有している株主に対する「プラスα」的な優待を導入する企業も増えてきた。

株主優待はいわば企業側の株主に対するお礼であり、自社の企業活動をアピールするために自社製品やサービスの提供を行う場合が多い。また、お米やクオカードなどの人気商品を対象とする企業も増えてきた。もちろん優待目当てで株主になる個人投資家も急増している。

「長期間株式を保有している株主に対する「プラスα」的な優待を導入する企業」の例として記事では【京成電鉄(9009)】(1万株以上を3年以上保有していると回数券を上乗せする)を、「人気商品」の例として【昭和化学工業(4990)】(新米あきたこまちの贈呈)などをあげている。

確かに株主優待目当てで株主になった個人投資家にしてみれば、よほど高い価格でTOBなどをされない限り、企業買収など眼中にはない、つまり現経営陣サイドにつく、ということになるのだろう。それはそれで企業側の「思うつぼ」なのだが、あえてツボにはまる、というのも一つの考え方ではある。

当サイトでも『株主優待・単元変更速報』のコーナーで、単元変更と共に株主優待関連の新設や変更情報を逐次配信しているが(現在は別サイトに移行)、ここ一、二ヶ月は特にその動きが活発になっている。特に新設や優待内容強化が多く、事実上の改悪はほとんどない。

株主優待にはさまざまなメリットがあり、それは企業・株主双方にとってプラスとなるものである。もちろん財務的負担は企業にマイナスとなるが、それを差し引いてもメリットになる状況ならば、これからもどんどん増設・新設してほしいものだ。

もちろん事業そのものに注力し、配当を維持・増配することを忘れてもらっては困るし、ヘマをやらかして株価を暴落させてしまっては困るのだが(苦笑)。


■関連記事:
【なぜ株主優待が嬉しいのか】


(最終更新:2013/08/28)

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