中国が大型揚陸艦建造計画、台湾有事や離島侵攻想定で

2006年03月16日 12:15

中国大型揚陸艦イメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]が報じたところによると、中国海軍が大型ヘリコプターや兵員輸送用揚陸艇(ホバークラフト)搭載で対空ミサイルも装備した大型強襲揚陸艦(LHD)の建造計画を進めていることが3月15日明らかになった。【防衛庁】や自衛隊もこの計画に強い関心を示しているという。

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記事や、おおもとの情報源であるChinese Defence Today(イギリスに本拠をおいている)の記事によると、中国海軍が建造を計画しているのは大型ヘリが離発着可能な飛行甲板を持ち、艦内にホバークラフトタイプの揚陸艇4隻を収納できる1万5000トンから2万トンクラスの大型艦。100ミリ対空砲や対空ミサイルHQ-7 SAMも装備している。また、甲板上の構造物はレーダーにとらえられにくいステルス性重視となるという。掲載された写真は中国船舶工業集団公司が作成した同艦の模型。

Chinese Defence Today掲載の大型強襲揚陸艦模型
Chinese Defence Today掲載の大型強襲揚陸艦模型

これらのスペックは既存の中国海軍の揚陸艦(5000トン未満の小型艦で対空防御能力がほとんどない)の弱点をほとんどクリアさせている。この艦が完成し就航すると、大規模な上陸・輸送作戦が可能になり、作戦運用や柔軟性がかなりレベルアップすることになる。

防衛庁などではこの艦の計画について、台湾有事を第一に想定しているのだろうが、南西方面での日本領土の離島侵攻も警戒する必要があると懸念を表明している。年初においてアメリカとの演習や訓練で「尖閣諸島や石垣島に侵攻した対抗勢力への対処、防御」を想定していただけに、単なる考えすぎでは済まされない話だろう。

同タイプの大型強襲揚陸艦としてはアメリカのワスプ級が特に著名で、他に韓国では昨年夏に軽空母に近い大型揚陸艦「独島」を竣工させている。また海上自衛隊でも同様の能力を持つ1万3500トンクラスの護衛艦を2008年に竣工させる予定(【平成15年度 事前の事業評価 政策評価書一覧】中「護衛艦(13,500トン型DDH)参照」)。

さて、このような艦艇の話が出てくると、海上自衛隊やアメリカ海軍の場合は蜂の巣をつついたかのように自称市民団体やグループ、平和愛好家と呼ばれるかたがたが大騒ぎし、自らの命を絶たれるかのような勢いで反発するのだが、今件についてはまったくそのような動きが見受けられない。なぜだろう。日本やアメリカの強襲揚陸艦は危険な軍艦で、中国のそれは安全でキレイで平和大好きなお船なのだろうか(苦笑)。

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