中国、国産の空母建造を計画か

2006年03月11日 12:10

ワリャクイメージ『NIKKEI NeT』などが報じたところによると、3月10日の中国系香港紙「文匯報」において、中国人民解放軍総装備部の汪致遠中将が9日、中国初となる国産空母の建造を計画していることを明らかにした。記事では「今後5年以内に完了するような短期的計画ではない」としながらも、空母機動部隊を構築するのに必要となる艦載機や護衛艦艇の製造が完了間近であるとも述べている。

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今回の発表はあくまでもコメントにすぎず、中国政府からの正式な発表ではないが、「中国系」の香港紙の報であることからもある程度信憑性は高いものと思われる(とはいえそれを狙ったプロパガンダ・ブラフの可能性も捨てきれないが)。空母建造が成れば中国海軍の悲願が果たされることになるが、今報道は同時に日本やアメリカ、台湾など周辺国の中国軍事力増強への警戒感を高めることに他ならず、「空母や機動部隊を作っておいて、周辺国に軍事色が強いだの軍事費が高いだの高圧的だのと文句ばかり述べる資格などない」と批判のポイントをさらに増やしそうだ。

記事では中国の海岸線の長さなどを挙げ「海洋権益を守るため」として空母の必要性を強調している。別の消息筋によると、空母は将来、南部を担当する南海艦隊に配属される可能性があるという。また、上記参照記事では、中国が観光目的で購入した旧ソ連邦の大型空母3隻のうち遼寧省大連市にあるワリャク(Varyag、ワリャーグ)において改修工事が行われていることから、「空母建造への動き」と指摘している。

ワリャクイメージこのワリャク、アドミラル・クズネツォフ級の2番艦として建造された重航空巡洋艦(実質空母だが、ボスポラス・ダーダネルス海峡を通過する際の配慮として航空母艦・空母ではなくこの分類がされている)だが、政治的・予算的問題から建造途中で放置されていた。が、1998年にマカオの中国系民間企業がカジノにするためとし購入、2001年に中国へ回航。しかし大連港に係留されたままになっていた。中国政府による、空母技術の取得のための購入だという説がある。そして2005年には中国人民解放軍の海軍向け塗装が施され、訓練艦か実戦配備のための改修をするのではないかと報じられている。

同艦はスキージャンプ形式の甲板など多少造形に西欧諸国の空母との違いはあるものの、Su-27フランカー戦闘機の艦載版Su-33などを計50機前後搭載可能な、本格的性能を持つ空母であり、先に【娯楽施設航空母艦ミンスク、中国で競売予定】で報じたミンスクとは格が異なる。

中国初の空母がワリャクの改装版になるのか、それともまったく新造になるのかは不明だが、中国海軍が航空母艦(空母)の保有を強力に意図しているのは確かだし、今回の報でそれの具体性の高さが判明した以上、近隣諸国もそれに対応した動きをする必要があるだろう。正式な発表は護衛艦など、空母機動部隊を構成する周辺艦の新造時に発表されるのだろうが……。あるいは国産1隻+ワリャク改装1隻の2隻で1空母機動部隊を作るのかもしれない。

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