mixiなどSNSで今後発生するであろうスパム手法を推測する
2006年03月19日 09:10
先に【SNSの仕組みを悪用した勧誘手法、進行中】や【mixiで新たなスパム勧誘手法「検索ワードスパム」、進行中】で報じた通り、今や300万人を突破し日本最大のSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)となった【mixi(ミクシィ)】をターゲットにした、スパム・勧誘手法が広がり、多くの無垢な会員が痛い目にあっている。これらの手法はアナログ時代のような紙媒体や口コミで広がるのではなく、「情報商材」の名をかたり「有益なテクニック」としてちまたに広まるため、その伝播スピードも早く、精度も落ちることが少ない。
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いまや日本最大規模のSNSとなったmixi。そのボリュームが300万人を超えたとなれば、その「市場」を好意的に解釈して「活用」する人も出てきて当然。
「足跡法」や「検索ワードスパム」は、その手法自身は普通のサイトと検索エンジンの間で繰り広げられてきたテクニック(SEOなども含む)、攻防戦において過去に使われた手法をそのまま、あるいは応用したものであり、考え方は比較的古いもの。あるいは発案者たちは、過去の歴史を「学び」、mixiなどに「応用」していることも考えられる。
ということなら、今後mixiなどで行われるであろう、あるいはすでに浸透が進んでいるもののまだおおっぴらにはなっていない「スパム・勧誘手法」もある程度予想がつくはずだ。そこでここでは簡単ながら、かつて使われたSEO手法などから推測をしてみることにする。
■メッセージスパム
電子メールに相当するメッセージ機能を用い、片っ端からメッセージを送りつけ、自分のプロフィールやサイトに勧誘する。あるいは親しげさを装い「マイ・ミクシィ」(ある程度の知り合い同士であり、情報のそれなりな共有を誓い合たもの同士だということをシステム上認めた相手のこと、またはそれを認可する行為)を依頼する手法。
要は「スパムメール」の応用なのだが、SNSでは趣味趣向ごとに(選択次第で会員限定にもできる)掲示板の集合体であるコミュニティを作ることができ、そのコミュニティ内ではどのmixi会員が入会しているかが分かる。そのため、送り手がターゲッティングしたいユーザー層を容易に特定でき、「効果的な」スパム行為を実行できる。
例えば「自分の盆栽販売サイトに誘導したい」と思えば、盆栽関係のコミュニティに入会している人をチェックして「送りつけリスト」を作ればいい。
ただ、不特定多数へのスパムメッセージ行為は事務局から容易にアカウント削除の対象となるため、他の手法との絡みもあり、まだ実行されている向きは見られない。スパム的「マイ・ミクシィ」依頼はすでに「足跡法」絡みで浸透中。
■スレッド多数同時設置
自分の宣伝用新規スレッド(掲示板、トピック)を、少しでも関係があるように見えるコミュニティに次から次へと新設させること。
「誰でも携帯で月に1億儲かる」という情報商材を売りつけたい人がいたとすれば、「こんなボクでも一か月に1億儲けることができます、しかも携帯で! 」などといううたい文句をはじめ、情報商材紹介ページにありがちなウダウダと長い説明文と自分の商材売買ページへのリンクを書いたスレッドを、携帯やビジネス関係、商材関係のコミュニティに次から次へと立てまくること。色々な意味危険性のあるソフトウェアを直接ダウンロードさせるリンクを貼り付けるものもいる。
この手法はすでに浸透中で、同じような方法論が一挙に広まったことから、どこぞのスットコ情報商材がマニュアル化したものと思われる。
■多数アカウント取得によるなりすまし
直接的な手法ではなく、他の手法にさらなる効果を与えるもの。mixiなど多くのSNSでは基本的に誰でも入会できるわけではなく、既存入会者の紹介で初めて入ることができる。要は「一見さんお断り」。
だがこのルールと、「マイ・ミクシィ」のメンバー数が多ければそれだけ「知り合いが多く意見力がある、有名人、カリスマ性に長けていると思われる」を利用したやり方。
要は、一つメインの、プロフィールなどでの宣伝用アカウントを取得し、そのアカウントから別メールアドレスの自分宛に次々と「入会紹介メール」を送り、入会させてしまうというやり方。最近はレンタルサーバでもメールアカウント無制限というサービスも少なくないから、メールアカウントを山ほど作ってそれぞれ別名で入会させ、メインアカウントと「マイ・ミクシィ」になれば、メインアカウントのマイ・ミクシィ一覧には山ほどのメンバーが並ぶことになる。
何も知らない第三者が見れば「ああ、この人はすごいのだな」とハクを感じさせることができるわけだ。
手間隙かかるわりには即効性に欠けるところがあるこの手法、まだ浸透しているようには見えないものの、一部で使われているのは確認できている。
■偽装カリスマ化・間接リンク
先の「なりすまし」などを用い、mixi内で自らをカリスマ化させ、プロフィールなどを経由して自分の情報商材を売りつけたりアフィリエイトリンクを踏ませたりする。
miixでは商業用の広告や宣伝を目的とするプロフィールは禁止されており、当局側が確認次第それなりの措置が取られる。
mixi側による商用利用がらみのルールは次の通り。
(禁止概要)
・プロフィールに一個人としてではなく、法人(サービス名)として登録する行為
・無差別に宣伝メールを送信する行為
・コミュニティ等に文脈に沿っていない宣伝トピック、コメントを書き込む行為
違反行為が確認された場合には、状況に応じて該当する書き込みの削除や修正要請、ユーザーへの警告、ユーザー登録の削除等の対応をおこないます。
(詳細)
・商業用の広告、宣伝を目的としたプロフィール内容その他コンテンツ、スパムメール、チェーンメール、MLM、その他勧誘を目的とするコンテンツ(コミュニティ上でのアフィリエイトリンクも含む)をアップロードしたり掲示したり、メッセージ機能などの方法で送信(発信)する行為。特に、アダルトサイトやマルチ、ねずみ講への勧誘は固く禁止します。その他の目的であっても、メッセージ機能や、マイミクシィ追加機能等を使った無差別送信や足あとを無差別につける行為は多くの人の迷惑となりますので禁止します。
だが「送り手者」側は、「直接リンクは禁止だけど、個人ページを中継した間接リンクならOKじゃん!」という論理のもと、今まで対検索エンジンや一般掲示板で宣伝しまくっていた自分の情報商材売りつけ、マルチなどの商用「個人」サイトへのリンクを設定しまくっている。
直接リンクと間接リンクの違い
もちろん実際には直接リンクと変わらない内容なので、当局側が確認できれば禁止されうる行為に他ならない。だが直接リンクと違い、確認行為が必要だし、解釈云々でもめることもあり、取り締りには及び腰のようだ。
これはすでにかなりのボリュームで浸透中。「スレッド多数同時設置」や「偽装カリスマ化」などとの合わせ技を用い、より「効果的」な結果を得ようと模索しているようである。
恐らくこれらの手法は遅かれ早かれ広範囲で使われることだろうし、これら以外の方法も多数用いられることだろう。まだ、「未公開株をあなただけに紹介」「資産運用ならこちらへ」などのようなダイレクトな経済事件に発展したような事例は耳にしていないが、くれぐれも注意されたい。
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