空自の次期主力戦闘機はF22? それとも……調査対象は6機種
2006年03月20日 08:30
【Fuji Sankei Business i】によると、現在航空自衛隊の主力戦闘機であるF4ファントムの後継となる次期主力戦闘機の選定で、【防衛庁】は候補機選定の調査対象を6機種にしぼり、アメリカ・イギリス・フランスの国防当局に性能などを問う質問書を送付していたことが3月18日に明らかになった。機種選定の条件として安全保障条約を結んでいるアメリカとの間における「インターオペラビリティ(Interoperability、相互運用性)の確保」を挙げていることも判明している。さらに防衛庁では2006年度中に調査員をアメリカやヨーロッパに派遣するという。
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防衛庁ではすでに2005年から2009年度中の中期防衛整備計画において、老朽化で2008年に廃棄処分が始まるF4の後継機について7機調達することを決めている。この後継機の機種選定は航空幕僚監部の次期戦闘機企画室を中心に進められており、今月上旬に先の質問書は送付されている。
具体的な対象候補は
・F22A戦闘攻撃機(アメリカ)
・F35戦闘機(アメリカ・イギリスなどによる共同開発)
・F/A18戦闘攻撃機(アメリカ)
・F15FX(アメリカ、日本向け仕様として開発中)
・ユーロファイター(ヨーロッパ)
・ラファール(フランス)
後継機種の選定に関し防衛庁では、中国やロシアの最新鋭機を上回る性能はもちろんのこと、アメリカの主要艦艇との情報交換システム「リンク16」との連携や、有事や演習における相互連絡や運用に支障がないことなどを求めている。これらの理由から、記事ではF22Aが最有力候補であるとしている。
防衛庁では2006年度予算に海外調査費として700万円ほどを計上し各メーカーに照会を求めるため、10月にも調査員を派遣する。さらに説明を受けて候補機を絞り込み、2008年度以降に実機を調達するまでに機種を確定する。
一部には旧ロシアの戦闘機を安く買い叩いた方がいいのではという意見もあるが、艦艇ならともかく、日本仕様向けへの改造の手間と運用開始後のサポートのことを考えると、「安物買いの銭失い」になる可能性が高い。また、一時は次期支援戦闘機のベース機候補として持ち上がり、空母運用も可能なF/A18ではとの話もあるが、他国での現状の運用経歴を見ると、「今から」F/A18では安価だがあまりにも旧式すぎる(そもそも海軍機を航空自衛隊が導入することは考えにくい)。ヨーロッパ製の機体もメンテナンスなどの点で今ひとつ、第一現アメリカ軍との連携を考えると、アメリカ製の機体以外は事実上考慮外となる。
これらの条件を元に消去法で選択すると、F22AかF15FX、F35のいずれかになるが、F35はアメリカ本国ですら2010年以降の配備予定とされており、どう考えてもF4の後継機としては間に合わない。と、なればF-15の高機動改修型F15FXか、F22Aとなるのだが。政治的配慮などの面(F22Aはロッキード・マーチン社製、F15FXはボーイング社製。現在空自でもっとも多く配備されている戦闘機F15はボーイング社製)から、F22Aの可能性が高いといえる。
アメリカやヨーロッパなどに派遣するのに予算を700万円しか計上しないあたり、もう機種は前評判通りF22Aでほぼ確定していて、「選定で色々考えましたが」という大義名分をとってつけるために時間と予算をちょっぴり割いたという感じにしか読み取れない内容。だが、候補メーカーや国にもそれぞれ事情があるからこれはこれで仕方ない。
技術輸出や運用面、さらに予算面などから、F15FXになる可能性は捨てきれなくないが。
なおF22については同機種の【公式サイト】まで存在する。当然すべて英語だが、将来航空自衛隊の主力戦闘機になるかもしれない機体について、あらかじめ知っておくのも悪くはないだろう。
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(最終更新:2013/08/28)
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