また、ファーストパーティー(First Party:任天堂自身のことを指す。ちなみに任天堂以外のメーカーで任天堂のハード向けにソフトを出す会社をセカンドパーティーと呼ぶ。いずれも任天堂による造語)から最初に発売されるゲームはいずれも50ドル(約5750円)を超すような価格をつけるつもりはないとも述べた。そして「うわべだけの」グラフィックの性能アップは結局のところゲーム開発費のコストを上昇させるだけに過ぎないとし、暗にライバルハードのソフトが(ゲームの中身とはあまり関係のないグラフィックに凝ったため)60ドル前後と高価になっているのを批判している。

「アメリカでは」と前置きした上で岩田社長は、「(ライバルの次世代ハード向けソフトが60ドルもするような高額だと)それほど多くのユーザーに受け入れられるとは思わない」「とびきりナイスなタイトルにならともかく、値段が高いから買わないというタイトルも少なからぬ出てくるだろう」と他ハードのソフトのセールス状況を予想した。

岩田社長はさらに「ソニーやマイクロソフトは、ソフトのオンライン販売で利益を得ようとしている。ダウンロード販売ならソフトの単価を抑えられるからだ(そしてそれらのハードには、ダウンロードしたソフトを保存できるハードディスクが用意されている)」と分析する一方「ニンテンドーレボリューションにはハードディスクが無い。ならばどのようにして(【「レボリューションはメガドライブとPCエンジンのゲームがダウンロードして遊べる」任天堂岩田社長語る】で報じられたような)セガのメガドライブやPC-エンジンのダウンロードしたソフトをプレイできるようにするのか。それはE3で明らかにする」と語り、詳細について今回は明らかにしなかった。ただ、512MBのフラッシュメモリや、USBポートを使って何かをするようなことは示唆している。

ダウンロードサービスについて岩田社長はさらに「ダウンロードしたタイトルをずっとプレイヤーが保存できるようにするのか、あるいはタイマーのようなものを設定して一定時間のみプレイできるようにするのか、選択することができるようにする。この仕組みはさまざまな、柔軟性の高いビジネスモデルを提供してくれるだろう」と語り、ダウンロードで提供するソフトウェアへの提供スタイルは複数存在することをほのめかした。

興味深いことに、すでにセガのメガドライブとPC-エンジンについて参入が決まっている「ダウンロードシステム」(原文では「バーチャルコンソール(Virtual Console)」という表現だが分かりやすいように意訳した)には、他のメーカーなどがさらに参加する可能性を岩田社長は語っている(実際、このシステムに参加したいメーカーはまだ他にあるようだ)。ただまだ不確定要素が多いらしく、多くを語ろうとはしなかったとのことだ。岩田氏は他にも「ダウンロードシステム」のメリットとして安価で良質なゲームタイトルを提供できることをあげている。

最後に岩田氏は、ゲーム業界の傾向として、ソフトそのものの価格やコストを抑えるためにゲーム内広告を出稿することが流行っていること、だがこれはゲームプレイヤーは否定的に受け止めているだろうとした。なぜならゲームに夢中になっているゲームプレイヤーは広告に注意を払わない、だからこそゲーム内広告はあまり意味が無く、現在のような傾向は長くは続かないだろう、とのこと。

以上、ざっとだが岩田社長の弁をまとめてみたが、レボリューションが任天堂、そして岩田社長の「安い＝手に入りやすい良質なゲームで遊べる環境をレボリューションが提供する」「ゲームの面白さはビジュアルにこだわらなくても追及できる。現在ゲーム業界ではその傾向が強いが、少なくとも任天堂はそのつもりは無い」などの主張が見て取れる。

ダウンロードシステム(バーチャルコンソール)の詳細はE3で明らかになるとのこと。そこでレボリューションの全貌がはっきりした時、そして同機が発売されたとき、ハード名にあるような「レボリューション」(革命)がゲーム業界におきるかもしれない。岩田氏の発言からは、そのような予感を感じ取ることができるだろう。