「42基中41基のミサイル迎撃に成功!」アメリカ国防総省で報道陣も参加し「ウォーゲーム」という名の演習を実施
2006年03月22日 19:20
『毎日新聞』の報によれば、【アメリカ国防総省ミサイル防衛局(The Missile Defense Agency)】は3月20日、実戦を想定したコンピュータによるミサイル防衛の机上演習「ウォーゲーム」を報道陣に公開すると共に、報道陣もその演習での役割を演じられた。内容は北朝鮮をモデルにした第三国から東京などを目標に発射された弾道ミサイルを、イージス艦やアメリカ本土からのミサイルで迎撃する指示を与えると、画像やデータがパソコン上に映し出される、いわば「シミュレーション・ウォーゲーム」のようなもの。
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元記事では取材に参加した毎日新聞社の記者がアメリカ海軍第七艦隊旗艦ブルーリッジの地域防空司令官役を担当するなど、大統領や太平洋軍司令部など要所の指揮官を拝命。次々に報告される状況とそれに対応する形での指示に従い、結果と新しい状況がパソコン上に映し出される。画面上には敵ミサイルや迎撃ミサイルの軌道、着弾や迎撃までの時間がリアルタイムで映し出されたという。
ゲームと名はついているものの、事実上の机上演習(訓練)である以上、状況はリアルでなければ意味がない。今回の演習は30分ほどのものだったが設定は
日本海に浮かぶ架空の島国「ミッドランド」が日韓と埋蔵石油や漁業権をめぐって争い、中距離弾道ミサイルや大陸間弾道弾(ICBM)を発射したとのシナリオ。標的は東京、横浜、大阪、京都や韓国の都市。米国の介入を封じる目的でハワイや米西海岸も標的となり、日本各地や韓国から地対空ミサイル・パトリオット、日本海の米イージス艦レーク・エリーからSM3ミサイルなどで迎撃した。
というもの。「ミッドランド」がどこの国を想定しているのかは容易に想像がつくが、それはさておき、演習の結果は「日韓に向けて発射された42基のミサイルのうち41基の迎撃に成功。日本は11基すべてを撃破。アメリカ本土に向けて放たれた7基も、迎撃ミサイルですべて撃ち落された」とのこと。迎撃に失敗し着弾した1発がどこを目標としていたのかは記事には無い。
奇しくもアメリカでは燃料費の高騰から、燃料費の節約と図上演習・模擬訓練を奨励する指示が出されている([このリンク先のページ(Cnn.co.jpなど)は掲載が終了しています])。ミサイル部局ではそもそも訓練のほとんどが机上演習でしかやりようがないが、今後他の軍でもコンピュータなどを使った机上演習の機会が増え、今回のような公開演習も回を重ねるようになるかもしれない。
さて、コンピュータ上のミサイル迎撃演習といえば、多少古い映画になるがやはり(今記事でもそのまま演習名として使われた)『ウォー・ゲーム』を出さないわけにはいくまい。1983年に公開されたこの映画、パソコン大好き少年が偶然アメリカ国防省の軍事コンピュータにアクセス。だが単なるゲームだとしか思っていなかった少年がプレイしたゲームはコンピュータ側では現実と判断。第3次世界大戦の危機を呼び起こしてしまう。
当時は「インターネットって何?」というレベルの技術だったころの話で、今と比べたらテクニカル的にチープさは否定できないし、多少話(特に「オチ」の部分)に飛躍はあるものの、緊張感やリアリティの高さから今でも楽しめる内容。なお今作品は1983年のアカデミー賞(脚本・撮影・音響)を受賞している。また、当時としてはあまりにもリアルな内容だったため、アメリカ防空司令部(NORAD、映画後半における舞台)の当局者がテレビで釈明したという逸話まであるとのこと。
技術や状況は大きく変化しているが、基本的な仕組みは昔も今も変わらないはずだ。恐らく元記事の記者も、映画後半の状況にあるような緊張感の中、演習に参加したに違いない。
……「ゲームセンターあらし」とか「ミサイルコマンド」なども思い出したが、今記事の主旨にはあまりマッチしないのでここでは省略しておく(苦笑)。
(最終更新:2013/09/19)
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