『ファイナルファンタジーXI』内で大規模不正行為によるインフレ発生。「当局」が対処へ
2006年02月12日 12:10
プレイオンラインが2月9日に発表したところによると、昨年末から発生しているアイテムの急激な高騰(インフレ化)の原因が、不正な手段を用いたギル(ゲーム内の通貨単位)の取得を行った集団によるものと判明。「当局」(ゲームシステム管理側)が各種対処を行い、実際にインフレ現象が軽減しつつあることを明らかにした。
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『ファイナルファンタジーXI』は【スクウェア・エニックス(9684)】による大黒柱的ビックタイトルゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズの多人数同時参加型ネットワークロールプレイングゲーム版。
発表リリースによれば、昨年末から発生している極端なインフレ化に開発部門やGM(ゲームマスター、ゲーム内の運営管理を行うゲーム内の「神」的存在)が調査をした結果、不正な手段を用いてギルを大量所有し、現実世界の金品による売買(RMT:Real Money Trade)を行っている集団が存在することが発覚したとのこと。システム側では不正を行っていたアカウントや、不正な手段で得たギルを利用して大規模なRMTを行っていたアカウントのうち700アカウントを特定し、すでに強制退会処分を実行。さらにこれらのアカウントから不正なギルの収受を行っているアカウントに対しても調査を続行しているという。
今回の処分によって全ワールド(ゲームの世界。複数のワールドが存在しプレイヤーは好きなワールドでプレイできる)で3000億単位以上もの不正利用ギルが回収され、インフレも緩和される傾向にあるという。なおこの不正を防止する対策はすでに完了しているとのこと。
アイテムそのものが氾濫し価値が下がる状況ではないのだから、アイテム増殖の不正は行われていないのだろう。貨幣の流通量が急増し、その貨幣を不正に大量取得した者がアイテムを買い占めることによりアイテムの需要が急増、必然的にアイテム自身の価格が急騰(アイテム自身の数が限定されていれば、売り手は当然値が高い方に売ることになるから)する。逆に、貨幣の価値は急落してしまうというのが今回の事象だろう。
実社会でも流通通貨・貨幣の量を急増させると、商品の値段は急騰し、相対的に通貨・貨幣の単位あたりの実価値は激減してしまう。第一次大戦直後のドイツの大インフレが良い例だ。
今回の事件は、流通量の増大が不正行為によるものとはいえ、ゲーム内の経済動向も実経済と同じように動きうるという、興味深い結果が出たこととして、注目に値する。
可能ならばスクウェア・エニックス側には、時系列を追っていくつかのアイテムの市場価格の動向と、ワールド内における総通貨流通量の動向を公開してほしいものである。
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