【更新】林野庁、花粉症実験データを粉飾

2006年02月22日 08:30

[YOMIURI ONLINE]によると、花粉を作る雄花の多いスギを選んで間伐の対象とするスギ花粉対策を2002年度から実施してきた【林野庁】が、効果確認のための実地調査で「成果が上がっている」というデータが出なかったため、机上計算の数値を実際の調査結果のようにして公表していたことが明らかになった。

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間伐をすることで一本ごとの日当たりがよくなると成長が促進され、結果として一本あたりのスギの雄花の量が増え、2年目以降は間伐効果が減少する可能性が高いものだが、それにも関わらず林野庁は継続調査もほとんど実施してこなかったという怠慢ぶりも指摘されている。

記事によると各都道府県が行った効果測定調査では目視調査結果は誤差も大きく、調査をした半数近くの場所で「雄花の多い木を選んだにもかかわらず、木を切った割合よりも雄花の減少の割合が少なかった」という結果が出た。さらに6か所では「雄花を除去したのに逆に雄花の量が増える」という、好ましくない結果が出た。

そのため林野庁では、事業効果公表の際に、これら自治体による調査の実測値の代わりに、雄花の量が多いスギから伐採した場合の効果を「机上で」計算し、「測定結果は、20~30%の伐採率で雄花が約50%程度減少」と公式サイトなどで発表して成果を強調した。

さらに林野庁では効果確認のための継続調査は欠かせないにも関わらず、「自治体の協力が得られなかった」として継続的な調査をしなかったことも判明。3年間の調査結果があるのはわずかに3か所だけで、そのうち2か所では「間伐を行わなかったスギ林と比較して効果が確認できなかった」という結果が出ている。

林野庁側では「ある程度、効果が計算でき、それに近いデータも三つあったので、効果を示す際の数値に使った。データを偽造したつもりはないが、誤解を招く恐れがあるかもしれない。間伐の効果はあるはずだ。今後、きちんと検証していきたい」と釈明している。が、読み解けば「ほとんど何もしていません、どうとでも言い訳できます」と言っているようなものである。意義は十分にあるのに、まさに税金の無駄遣いをしている良い例と言わざるをえない。無駄遣いどころか事実上のデータ捏造であり、その行為は問題視されるべきだろう。

なお[asahi.com]によると林野庁の辻健治次長は21日に記者会見をし、今件は事業の有用性を強調するためだったとの見方を示し(それを捏造というのだが)、「正確さを欠く公表の仕方で誤解を招いた点は、まずかった。遺憾に思う」と述べ、不適切だったことを認めた。だがその一方、謝罪は一切せず、責任者の処分も「今は考えていない」と明言したという。林野庁内も適切な「間伐」と「植林」が必要なのかもしれない。

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