音楽業界の不調は非合法ダウンロードのせいではない?

2006年02月06日 08:30

インターネットイメージ【IT media】が報じたところによると、【AP通信(The Associated Press)】とRolling Stone誌の共同世論調査によって、音楽業界が事あるごとに業界の低迷の理由に挙げている「非合法ダウンロード」の問題が、業界に対する影響度はそれほど高くないかもしれないという可能性が出てきた。

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大元の記事(英文)が見つからなかったので元記事からの参照になるが、それによれば回答者(アメリカの成人1000人でうち963人が音楽をよく聴く人、電話調査)の80%が著作権所有者から無許可で音楽をダウンロードする行為を窃盗とみなしており、92%はそうした行為はしたことがないと回答している。

また、音楽愛好家のうち3/4が「市販CDは高すぎる」とし、58%は「音楽そのものの質が全般的に下がっている」と回答している。

記事では「音楽のダウンロードサービスや携帯音楽プレイヤーの普及で新しい分野での音楽業界の『稼ぎどころ』が登場した。だが利ざやは小さく、より利益率の高いCDの販売がそのあおりを受けている」と分析している。音楽をデジタル購入していると回答した人が15%に過ぎなかったものの、これからも普及率は低下するどころかますます高まるだろうこと、そしてそれらの料金が公正な価格・お買い得としポジティブに考えている人が多いことを考えると、 CDに完全にとって変わることはありえないが15%という割合は今後も増加するだろうことは容易に想像できる。

さらに記事ではデジタル購入できる音楽のよさ(整理が簡単、安い)というメリット以外に、音楽そのものの質の低下を懸念する声が多数寄せられたことを指摘している。高年齢層における俗に言う「昔の方が良かった」というありきたりな批判パターンだけでなく、音楽業界がメインターゲットとしている若年層からも、「音楽が悪くなっている」という声が相次いでいるというのだ。

利用者側の「なぜ音楽業界(の売上)が低迷しているのか」という問いへの答えは千差万別。業界側指摘の「違法ダウンロード」以外にも「他のエンターテインメント形態との競争」や上で指摘した「質の低下」「CDが高すぎる」などが挙げられている。

業界側としてみれば「あからさまな敵を作って糾弾する方がわかりやすい」「現状を認めると自分らの否を肯定してしまうことになる」などの理由から、「音楽業界が低迷しているのは違法ダウンロードがあるからだ」と声高々に主張するのだろう。理由は分からなくもない。だが利用者側はより冷静に、そして賢明に、問題点を理解しているのではないのだろうか。

日本国内におけるパソコンのゲーム業界が、かつて違法コピー問題と「戦って」いた状況にあまりにも酷似していると思うのは自分だけだろうか。

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