ドイツのポケット戦艦A・グラフ・シュペー、引き上げ計画進行中

2006年02月14日 08:30

A・グラフ・シュペーイメージ【BBC】によると第二次世界大戦初期にウルグアイのラ・プラタ川で自沈したドイツのポケット戦艦アドミラル・グラフ・シュペー(Admiral Graf Spee)を引き上げる計画が進行中だという。軍事利用にではなく、観光目的に使われる予定。

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A・グラフ・シュペーイメージポケット戦艦(重巡洋艦と区分される場合もある)とは、当時ドイツが第一次大戦後に結んだベルサイユ条約の戦艦に関する規程(備砲が11インチ以下、排水量1万トン以下)に違反しない形で作られた、装甲などを犠牲にして「戦艦並の大型口径を持つ主砲」と「戦艦と出会っても逃げられるような高速性」を兼ね備えた大型軍艦。第一次大戦の教訓に従い、他の軍艦と組んでの艦隊行動はせず、単独で通商破壊作戦(敵の商船を攻撃する作戦)に従事した。建造費は当時のドイツで8200万ライヒス・マルク(参考までに、戦艦ビスマルクが約2億ライヒス・マルク、キングタイガー戦車が35万ライヒス・マルク)。

第二次大戦初期シュペーは9隻の商船を沈めるも、イギリス海軍に包囲され、ラプラタ沖海戦で損傷、当時中立国のブラジルとアルゼンチンにはさまれた小国ウルグアイ・モンテビルオ港に停泊。だがイギリス海軍の大艦隊が迫っているという偽情報を信じ、脱出困難と判断したドイツ側が自沈してその運命を終えている。同型艦としては他にリッツォー(ドイッチュランド)とアドミラル・シェアーがある。

同艦は爆薬を使ったものの自沈したということもあり、比較的よい状態のまま浅い海底(ラ・プラタ川)に鎮座していることが確認されていた。2004年2月には残骸の引き上げが開始されたと報じられており、現在でも続けられている。参照記事でもドイツ海軍のワシの彫像が引き上げられたようすの写真が掲載されている。また、27トンもの戦闘司令塔や砲手用の計測器も引き上げられたようだ。

「It is hoped the vessel will become a tourist attraction in Montevideo.」とある通り、将来は全体を引き上げ、同港の観光名所にする予定であるという。

日本にも大型艦はともかく、小型艦ならいくつか似たような状況の軍艦は存在する。また比較的大型の船でも、自沈はともかく比較的損傷の少ない艦が沈んでいる場所はいくつかある。それらを引き上げようという計画はないこともないが、役目を終え眠りについた彼らを再び起こすとすれば、それなりの理由付けが必要になるだろう。それならむしろ、レプリカを作った方が良いという考えもあるが(苦笑)。

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