東京証券取引所、ジャック・ホールディングスの株価動向に不自然さありとして証券取引等監視委員会に報告
2006年01月29日 12:30
【NIKKEI NeT】によると【東京証券取引所】は、【ライブドア(4753)】が2005年8月に買収を発表したジャック・ホールディングス(現【ライブドアオート(7602)】)の株価に不自然な動きがあったとし、【証券取引等監視委員会】に報告した。委員会もこれを受けて、不審な取引がなかったかどうか事実解明に乗り出した模様。
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記事によるとライブドアでは2005年8月25日午後6時に、中古車販売会社のジャックを145億円で買収すると発表した(【プレスリリース、PDF】)。しかし当時の市場での値動きをみると、発表前の当日午後3時までの市場において売買高は前日の13倍に急増し、株価も急騰している。他に株価が上がる情報はもたらされていない以上、タイミングを考慮すると「不審な取引があったのでは」という疑いがもたれても致し方ない。
一般投資家が知りえない情報を事前に入手して、その情報を用いて株式の売買で利益を得ることはインサイダー取引として処罰される対象にある。だが今件に限らず、さまざまな銘柄で(具体例は挙げないが特に新興系分野における業界で)は情報統括に関する考え方に甘い部分があり、株価が大きく上下するであろう情報が事前に漏れたり、当事者やその関係者が事前に売りぬけ・買いぬけをする結果、正式な発表前に株価に「妙な動きが起きる」ことは日常茶飯事的に起きる。関係者から情報が漏れること以外にも、発表のためのリリース作成やマスコミへの情報伝達(タイムリミットの報道規制付き)、それらの情報を紙媒体に印刷するための諸般作業の過程で情報が流布される可能性も否定できない。すべての告知アクションを完全に内部関係者だけでなしえることは不可能だからだ。
ただ、これらの「インサイダー(取引)による株価の妙な動き」については確たる証拠がなく「そうみたいだ」という噂レベルでしかないため、証券取引等監視委員会も動きにくいというのが実態だ(アメリカのSECのような強権力を持ち、もっと人材も配置されれば話は別なのだが)。
今件は、動きの度合いがあまりにも急であからさまだったことに加え、ライブドアが積極的に株価操作などでグループの収益をあげようと模索していたのが判明しつつある中でおきた「不自然な株価動向」だっただけに、調査すれば「証拠も出てくるだろう」という確証度が高いと判断されたため、東証の報告もあり、証券取引等監視委員会も動き出したものと思われる。
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