中古ゲームハードが今春から店舗で買えなくなる?
2006年01月27日 23:59
【電気用品安全法】の猶予期間(5年間)が今年2006年の3月31日で終わるため、PSEマーク(基準に適合したことを示すマーク、届出と検査が必要)が無い家庭用電気商品が4月1日から買えなくなる可能性が出てきた。リサイクルショップで販売されている家電商品などはもちろん、過去の家庭用ゲーム機の一部も該当するとの解釈があり、特にレトロゲームハードやゲーム基盤ファンの間には衝撃が走っている。
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詳細は上記参照ページなどに掲載されているが、要は「古い家電商品には特に電源周りの部分で安全性に不確かなところがあるので、業者はきちんと届出をして(検査を行い)、安全だと認められたPSEマーク(Product Safety Electrical Appliance & Materials)を貼らないと販売してはいけませんよ」というもの。製造メーカーや販売元など、事業として製品を販売する者に対する、安全性の責任を負わせるための法的規制といえば良いだろう。元々戦前から存在していた法律で、2001年に大規模な改正が行われた。影響が少なからずあるので施行には「旧表示方法でも販売してかまいません」という猶予期間が5年あったわけだが、その期間の一部がこの3月31日で終了となる。
具体的には同法律内における「特定電気用品以外の電気用品(338品目)」の322項「電子応用遊戯器具」が家庭用ゲーム機、276項がアーケードなどのゲーム基盤に該当するようだ(【参照】)。なお前者は「テレビジョン受信機に接続して使用するもの又はブラウン管を有するものに限る」と別規定で定義されており、(【参照(電気用品の範囲等の解釈について)、PDF】)携帯ゲーム機は対象外。
「リサイクルショップや中古ゲーム屋などなら製造ではないから対象外では」という疑問もあるが、【電気用品安全法手続案内】によると、「PSEマークの表示を確認した上で販売することができる」とあり、要するに「PSEマークの基準にそぐわないものは販売できません」ということになる。PSEマークがついていない古いゲーム機などがその基準をクリアできるのか、できるものだとしてもその手間隙などのコストを考えると販売するメリットはあるのかなどを考えると、事実上、不可能と見て良いだろう。
具体的にどのハードが該当するのかといえば、電源を内蔵しているゲーム機、例えばプレイステーション(1)やプレイステーション2の古いタイプ(SCPH10000など)、セガサターンやドリームキャストなどが条件に合致するようだ。また、外部電源を利用し、ACアダプタでコンセントに接続するタイプのものとしては、その他のほぼすべてのゲーム機が該当する。こちらはACアダプタ自身が法律の対象となるので、PSEマークをつけたACアダプタに使用を切り替える(販売する)ことで問題をクリアできると思われる(ACアダプタ自身は猶予期間が7年なので2008年4月1日から対象規制)。さらにCD-ROM搭載機で音楽CDが再生できるものはその他音響機器としても扱われうるので、そちらの規定にも抵触する(こちらも電源内蔵ならば3月31日で猶予期間終了。)。
また、今法律の猶予期間解除によってレトロな家庭用ゲーム機はもちろん、音楽関係でも少なからぬ影響があるものと指摘されている。他に、「ハードが買えなくなるのなら、そのハード用のソフトも売れなくなる」ということで、ソフトの需給関係も大きく変動する可能性は低くない。
今件では早くも一部中古ゲームショップで告知をはじめ、該当するハードの買取終了を告知しているショップもあることが確認されている。「事業」ではない個人販売やオークションでの販売はどうなのかという考え方もあるが、継続的にオークションなどで販売すれば事業になるから抵触する(これは今法律に限らない)、個人間でも事業になると抵触しうると考えられる。
もちろんこれらの機器が「使用してはいけない」というものではない。あくまでも販売が規制されるだけ。PL法のように「販売者などの責任を明確化するもの」と考えれば問題ないだろう。
なにぶんにも当方(不破)は法務で飯を食べているものでなければ資格者でもないので断言もできなければ法的根拠もないのだが、ゲーム業界内で今件がほとんど論議・告知されていないことが不思議でならない。すでに猶予期間満了を間近にひかえ、できることは多くないが、少なくとも情報の周知は最低限でも必要だろう。また、専門家による考察も必要と思われる。
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(最終更新:2013/08/29)
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