【更新】アメリカ産牛肉輸入再度停止処分が仙台名物牛タンを危機に
2006年01月21日 15:21
[河北新報]によると、先にも報じたとおり【アメリカ産牛肉の輸入が再度停止された】ことで、仙台の名物でもある牛タン店などでは怒りと落胆の声が渦巻いていたという。業界内からは「仙台名物が再び消滅の危機にさらされてしまう」という悲鳴も上がっている。
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具体的な各店舗での状況は上記参照記事で確認してほしいが、要は「アメリカ産牛タンが輸入できない」こともさることながら、牛肉そのものの供給量減少による、代替品であるオーストラリア産など他国産、あるいは日本国内産の牛肉(特に牛タン)価格高騰が響いているらしい。それでもアメリカ産牛肉の輸入再開が決まった秋口からはオーストラリア産の価格が下落しはじめ安心しはじめていた矢先の今回の出来事だけに、関連店舗では衝撃を隠せない。
なお今回は該当する輸入業者側が「輸出基準の解釈に誤解があった」「アメリカ国内の基準で判断していた」と釈明しており、危険部位の除去の必要性を認識していなかったことやアメリカのジョハンズ農務長官も記者会見の中で「担当の検察官らが除去する必要性を認識していなかった」「書類を見れば危険部位が混入していると分かるのに、除去が必要という事実を認識していなかった」と説明していることから、アメリカ側では官民共にルールを守っていなかったことが明らかになっている。
一方[YOMIURI ONLINE]によればアメリカの食肉業界団体である【アメリカ食肉協会(AMI)】はパトリック・ボイル会長の記者会見で、「今回問題となった牛肉はアメリカ内では食用が認められている。1施設に1回だけの出荷で、日本政府がアメリカ産牛肉を全面的に輸入禁止とするのは支持できない」とコメントしている。同協会の公式サイトでも[日本への牛肉輸出は日米間での取り決めが守られなかった輸出を行ったため停止されました]、[AMIは緊急声明として日本がアメリカ産牛肉を輸入停止したことを遺憾に思います]というリリースが発表されている。特に後者のリリースでは会長のコメントを引用し
「今件がたまたま間違って送られたということに過ぎないのは明白です。アメリカ産牛肉と子牛の肉は世界で最も安全であることに違いはありません。調査の専門家は、予防薬やその他の規制でアメリカ国内におけるBSEの発生レベルが大変低いところまで軽減されていると発言しています」
(“Despite this shipment, sent in error, the facts are indisputable: U.S. beef and veal remain among the safest in the world. Experts say that the U.S.’ proactive, preventative BSE firewalls have made the level of BSE in the U.S. so low it can scarcely be quantified.”)
と主張している。遺憾に思うのか開き直っているのか分からない内容と受け止められてしまうのは致し方あるまい。
今件のように、あれだけ事前に体制を整え約束を取り交わし確認をしたにも関わらず、一か月も足らずして協定違反が露呈し、しかもその内容が官民ともに約束を理解していなかったことが分かった以上、相当に強固な体制作りとその証明をしなければ、輸出再開はかなわないかもしれない。
……ちなみに成田空港で見つかったこの危険部位入り牛肉、アメリカに送り返したらちゃんと引き受けてくれるのだろうか。アメリカでは「アメリカ国外からの」牛肉や牛製品の輸入は日本に勝るとも劣らないほどのキツい規制をしているので、あるいは拒絶されるかもしれない(苦笑)。要は「アメリカ国内業者は安心、海外はすべて厳しく取り締まる」ということなのだが、アメリカ国内のルールそのものや認識を今回かいま見た限りでは、国民の安全確保のためというのは大義名分に過ぎないようだ。
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