アメリカ産牛肉再び禁輸、アメリカ側の体制に重大な不備

2006年01月21日 09:50

牛肉イメージすでに先日報じた通り、2003年12月から輸入がストップしていたもののようやく昨年12月に輸入を再開し、昨日1月20日に成田空港に到着したアメリカ産牛肉に、輸入が禁止されている特定危険部位の脊柱(せきちゅう、背骨)が混入しているのが見つかった。同日政府はアメリカ産牛肉の輸入を当面の間、全面停止することを決定した。輸入再開からわずか一か月間で問題が発覚し輸入停止措置が行われたことで、輸入再開決定そのものへの疑問符が投げかけられている。今件はNHKでニュース速報としてテロップが流されるなど、各報道も大きく取り上げている。

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中川昭一農水相は20日の記者会見で「極めて重大な問題」とコメントするなど、政府内の衝撃も大きい([このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています])。日米間の取り決めでは輸入再開の際に設けられた条件に違反する行為があった場合、問題を起こした処理施設からの輸入停止を行うこととしていたが、輸入再開直後に早くも違反行為が行われたことを重視し、国民の食の安全・安心を確保するという意味から処分としては一層厳しい全面停止処分となった。ちなみに今回危険部位の混入が発見された便の牛肉は、すべて積み戻すか焼却処分される。これまでに輸入された1373トンは「これまでの検査で問題は出ていない」として回収はしない。

該当する牛肉を輸出したのは【Mainchi INTERACTIVE】によればアトランティック・ビール・アンド・ラム社。複数の記事によれば「混入していた脊柱は骨が肉についたままの状態のもので、専門家が見れば一目瞭然で違反行為であることに気がつく」という状態で輸入されたという。

アメリカ側も今回の違反行為を重大な事態と受け止め(【NIKKEI NeT】、同じく【NIKKEI NeT】)、ジョハンズ農務長官も「(担当の検察官らが、特定危険部位を)除去する必要があることを認識していなかった」とし、アメリカ政府側の検査体制に深刻な不備があったことを認めていると共に、マコーマック国務省報道官も「極めて深刻に受け止めており、こういう事態になって遺憾だ」と謝意を述べている。

日本側の反応も今回は素早かった。消費者からは「それ見たことか」という意見が多くを占める一方で、「ようやくアメリカ産牛肉の輸入再開が果たされ、どうにか状況を改善できるかも」としていた外食産業や中小の関連企業の関係者からはやるせない思いが次々と語られている(一部は危険部位が発見されてもなお「それでも輸入を続行すべきだ」と逆切れする関係者もいるようだが)。

ここで、アメリカ産牛肉に関連するであろう銘柄をピックアップしてみる。一部企業は輸入再開の際の対応でかえって今件によって値を上げるものもあるだろうが……ともあれ月曜になってフタをあけて見なければ分からない。当方(不破)の自宅近所の牛タン中心の焼き肉店も、経営不振で云々という貼り紙をしていたが、今回の輸入再開停止でクリティカルヒットを受けたのではないかと少々心配だ。

吉野家(9861)(2月11日から限定で牛丼再開予定)
ロイヤルホスト(8179)(昨年末から全店舗で産地を店頭パネルに表示)
カウボーイ(9971)(限定でアメリカ産牛肉の販売再開)
丸大食品(2288)(各種調査用にアメリカ産牛肉輸入)
ゼンショー(7550)(安全性が確認できないためアメリカ産牛肉の使用をしないことを繰り返し宣言)
レックス・ホールディングス(2688)(アメリカ産牛肉使用を前向きに検討)
あみやき亭(2753)(「安心・安全が確認できるまで、無理をしてまでアメリカ産牛肉を使う気はない」)
イオン(8267)(安全性に関する自主基準を設けて販売再開を検討する」)
【松屋フーズ(9887)】(流通量などを見極めながら使用再開を検討するとしていた)

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