直感の大切さ

2006年01月12日 08:30

ひらめき、直感、野生の勘、表現はさまざまだが、俗に言う「ふとしたひらめき」である直感は、大抵において軽視されやすい。それは論理立てたものから導き出されるものではないし、過去の明らかな実証データから算出されるものでもないからだ。

だが心理学などでよく言われている通り、人間一人一人の心の中の意識している領域は全体のごくわずか、数%に過ぎないといわれている。逆にいうと残りの90%以上は無意識の領域、深層・無意識の領域にある。そして人間が経験して得た情報のほとんどは、この無意識領域に納められることになる。

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人が常識で、熟考して導き出した判断は、実はこの数%の情報を元にしているに過ぎない。逆に「直感」は無意識領域にある90%以上の情報を基にしていることになる。もちろん無意識領域に納められた情報はそれなりの理由がある。ジャンクといわれる「ほとんど意味の無い情報」がほとんどだろう。だが単独では一見役に立ちそうに無い情報でも、複数のジャンクが結びつくことで、素晴らしい判断を導き出すこともある。直感とはまさにこのことを指す。

例えばある場所で「なんとなくイヤな雰囲気がする」と感じたとしよう。注意をうながす看板があるわけでもなければガス臭さが鼻についているわけでもない。だが「イヤな雰囲気」を感じるには、何らかの理由がある。過去において自分が経験した(意識的には覚えていないかもしれないが)、あるいは報道や書籍などで知った事故・事件の現場と似たような雰囲気が無意識領域に存在し、それと今居る場所とで共通点があり、危険を察したのかもしれないのだ。「ガス臭い」などの明らかな理由を思い出せなければ、それは直感や野生の感という形で表現されることになる。

感の鋭い人、ひらめきが冴えている人は、この無意識領域の情報が元々豊富であるだけでなく、「直感」の大切さを知っている人、それぞれの無意識領域にある情報を結びつけるテクニックに優れた頭脳を持っている人に他ならない。名探偵がちょっとした情報からさまざまな推理を見出すのが良い例だ。脳内における記憶の構造で例えれば、シナプス同士のつなげ方がうまい人ということになるのだろう。

単に「直感」だからといって莫迦にせず、なぜそう思ったのか・感じたのかを自分自身に問い直し、その上で判断を下すことで、より良い方向を目指せるかもしれない。

もちろん他人に「直感」の内容を説明するには、それなりの「理屈」が必要になる。それにはそれなりの経験と技術が必要になるのは仕方が無いところだ。

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